エアコン暖房はつけっぱなしのほうが電気代を節約できる?外出時は消す?
2020年5月27日 更新エアコン暖房はこまめに消すよりも、つけっぱなしにしたほうが電気代は節約できるという話をよく聞きますよね。しかし、外出時などもエアコン暖房をつけっぱなしにするのは勿体ない気もしますし、本当に電気代の節約になるのか、分からないですよね。
そこで、エアコン暖房をつけっぱなしにすれば、本当に電気代が節約できるのかを考えてみましょう。ここでは、エアコン暖房をつけっぱなしで節約できるかどうか、つけっぱなしにしたときの電気代、節約のポイントなどを丁寧に解説しています。
目次
1 エアコン暖房のつけっぱなしについて
まずはエアコン暖房をつけっぱなしにすれば、電気代が節約できるという話の根本を考えてみましょう。また、エアコン暖房のつけっぱなしのメリットとデメリットも解説していきます。
エアコン暖房をつけっぱなしにすれば、電気代が節約できるという話の根本はエアコンの消費電力。なぜならば、エアコンは暖房でも冷房でも「運転開始から部屋を設定温度にするまで」が、最も消費電力が大きくなるからです。つまり、エアコンの消費電力が大きくなる運転開始の回数を減らして、部屋の温度が一定になっている時間を長くすることで、エアコンの消費電力を抑えるという考えが根底にあります。
さて、エアコンの消費電力は下のような書き方をされていますよね。
エアコン | エアコン暖房の消費電力 |
---|---|
パナソニック(CS-228CF) | 470(125~1,220)W |
三菱電機(MSZ-GE2218) | 545(135~1,350)W |
ダイキン(S22VTES) | 470(130~1,210)W |
売れ筋のエアコンの消費電力ですが、普通は数字とカッコつきの数字で紹介されています。最初の数字は「定格運転」のときの消費電力で、カッコ内の数字は「最小の消費電力」と「最大の消費電力」が示されているのです。
定格運転は、室内外の温度が一定の条件下での消費電力です。しかし、問題になるのは、最小と最大の消費電力。特にエアコンの最大の消費電力は、室温と設定温度の差があるときの消費電力と言えるため、運転開始時にはこの最大の消費電力になると考えられるのです。
例えば、パナソニックの「CS-228CF」の場合で、1時間あたりのおよその電気代を計算してみます。
- 最小の消費電力のときの電気代=(125÷1000)kW×27円=約3.4円
- 最大の消費電力のときの電気代=(1220÷1000)kW×27円=約33.0円
エアコン暖房の運転開始から設定温度になるまでは、1時間あたり「約33.0円」もかかります。しかし、エアコン暖房の運転が安定しているときは、1時間あたり「約3.4円」しかかからないのです。
つまり、エアコン暖房をつけっぱなしにしていれば、約3.4円の運転が続くことになります。これはエアコン暖房の運転開始のときの電気代の10分の1程度です。ですから、エアコン暖房を10時間つけっぱなしにしても、エアコン暖房の運転を開始したときの電気代くらいしかかからないということになります。このことから、エアコン暖房をつけっぱなしにしたほうが、電気代が節約できるとされているのです。
しかし、エアコン暖房をつけてから設定温度になるまでは1時間もかかりませんし、設定温度に近くなれば、消費電力が抑えられて電気代も抑えられていきます。そのため、この限りではないというのが、本当のところと理解しておくほうが良いでしょう。
1.2 つけっぱなしのメリットは?
エアコン暖房をつけっぱなしにするメリットには、次のようなものがあります。
- 外出から帰宅したときでも部屋が暖かい
- オンとオフの手間がかからない
- 寒いと思わなくて良い
エアコン暖房をつけっぱなしにするメリットにはこのようなことがありますが、本当に必要なことでしょうか?例えば、今のエアコンにはタイマー機能もあるので、帰宅する時間に合わせてエアコン暖房をつけておくというのも難しい話ではないですよね。
また、エアコン暖房をつけたり消したりする手間もボタン一つ。手間がかかるというほどではないでしょう。エアコンにはリモコンもあるので、手元に置いておけば、近づく必要もないですからね。
1.3 つけっぱなしにデメリットはある?
エアコン暖房をつけっぱなしにするデメリットもあります。
- エアコン暖房をつけている間は電気代がかかる
- オンとオフの手間がかからない
- 外出時の温度変化がより厳しく感じる人もいる
エアコン暖房をつけっぱなしにする最大のデメリットは空気の乾燥。冬場は喉を痛めやすいですし、風邪を予防するという面からも加湿器などを併用しなければならなくなるでしょう。そうすると、加湿器の分だけ余計に電気代がかかると思いませんか?
結局はエアコン暖房をつけっぱなしにしたときに、電気代がどのくらい節約できるのかがポイント。大きく節約できるのであれば、エアコン暖房をつけっぱなしにする効果もあるでしょう。しかし、節約できる金額が少しであれば、エアコン暖房をつけっぱなしにしなくても良いという結論になると言えますよね。
2 エアコン暖房をつけっぱなしにしたときの電気代
エアコン暖房をつけっぱなしにしたときの電気代については、空調設備のメーカーとして人気がある「ダイキン」が実験を行っています。ここからは、そのデータも参考して考えていきましょう。
2.1 ほとんど家にいるときは?
エアコン暖房を使うのは冬場ですが、仕事がない日などは寒いので外出しないという人もいますよね。例えば、年末年始などは急用でもなければ、外出しないでエアコン暖房をつけっぱなしということもあるでしょう。
このように、ほとんど家にいる場合はエアコン暖房をつけっぱなしにしたほうが良いのか、それとも部屋が暖かくなる30分程度でエアコンを消すほうが良いのか、意外と迷いますよね。ダイキンの実験によれば、エアコン暖房をつけっぱなしの場合と30分ごとに消す場合では、次のような電気代になったという報告があります。
時間帯 | つけっぱなしの場合 | 30分ごとにオン・オフする場合 | ||
---|---|---|---|---|
消費電力 | 電気代換算 | 消費電力 | 電気代換算 | |
23:00~6:00 | 5.0kWh | 135円 | 8.5kWh | 230円 |
6:00~18:00 | 7.8kWh | 211円 | 11.2kWh | 302円 |
18:00~23:00 | 3.3kWh | 89円 | 4.2kWh | 113円 |
実験結果はダイキンのホームページから抜粋しています。
一覧表から明らかなように、エアコン暖房をつけっぱなしのほうが電気代は節約できていると言えます。そのため、家にいるときに30分くらい部屋を空ける場合には、エアコン暖房のスイッチを消さないほうが節約できることが分かるでしょう。
2.2 仕事で家にいない場合
次に仕事などで外出する場合、エアコン暖房をつけっぱなしが良いのかどうかを考えてみましょう。
ダイキンは、ある程度のスケジュールを想定した実験も行っています。そこでは、睡眠時間や外出時にはエアコン暖房を消すという想定になっているのです。
時間帯 | つけっぱなしの場合 | 睡眠・外出時に消す場合 | ||
---|---|---|---|---|
消費電力 | 電気代換算 | 消費電力 | 電気代換算 | |
23:00~6:00 | 3.5kWh | 95円 | 0.3kWh | 230円 |
6:00~18:00 | 5.7kWh | 154円 | 8.9kWh | 240円 |
18:00~23:00 | 3.4kWh | 92円 | 2.4kWh | 65円 |
細かい外出のスケジュールは割愛しますが、表の最下段に注目。ダイキンの実験では、この時間帯に「2時間の外出をした」という想定になっています。つまり、2時間の外出になると、エアコン暖房を消したほうが、つけっぱなしよりも電気代は節約できるという結果なのです。
また、この実験では仕事で外出するような長時間の外出は想定されていませんが、2時間の外出でエアコン暖房を消すほうが安くなるというのは注目。例えば、仕事で外出する場合、朝7時に家を出て夜7時に帰宅しても12時間の外出です。そうなると、外出時はエアコン暖房を消すほうが節約できるのは明らかと言えますよね。
ただし、この実験の想定は子どもを持つ主婦のスケジュール。しかも、実験の結果では、エアコン暖房をつけっぱなしの場合とそうでない場合の電気代の差額は、およそ30円という結果になったと報告されているのです。
つまり、一人暮らしで家を空ける時間が長い人は、エアコン暖房を消すほうが電気代を節約できると言えます。しかし、家族で住んでいる場合など、家を空ける時間が長くなければ、エアコン暖房をつけっぱなしでもほぼ変わらないと言えるのです。そのため、自分の家族構成を考えたうえで、エアコン暖房をつけっぱなしにするかどうかを考えるのが、電気代を節約するポイントになりますよ。
3 エアコン暖房の電気代を節約するポイント!
エアコン暖房の電気代を節約するポイントを紹介。エアコン暖房をつけっぱなしときの参考にしてください。
3.1 外出時に部屋を空ける時間を考慮する
エアコン暖房で電気代を節約する最初のポイントが、部屋を空ける時間。ダイキンの実験結果から30分くらいであれば、エアコン暖房をつけっぱなしのほうが電気代を節約できることが分かりました。つまり、部屋から出るときは、自分がどのくらいで戻れるのかを考えてエアコン暖房をつけっぱなしにするかどうかを決める必要があるのです。
例えば、コンビニなどに買い物に出かける場合、ちゃんと考えてから出かければ、すぐに戻れますよね。必要もないのにお店であれこれと考えるよりも、家で何を買うのかなどを考えてから出かければ、エアコン暖房をつけっぱなしのほうが節約になるのです。
外出時にエアコン暖房をつけっぱなしにするかどうかは、自分がどのくらいで戻れるのかを考えたうえで決定。そして、早く戻れるようであれば、工夫をしてから出かけることでエアコン暖房の電気代を節約できるのです。
3.2 外気温との差があるとき
外気温とエアコン暖房の設定温度に差がある場合、エアコン暖房の消費電力は大きくなってしまいます。そのため、外気温とエアコン暖房の設定温度に差がある場合、少し長めの外出時でもエアコン暖房をつけっぱなしのほうが電気代を節約できることもあるのです。
実際にどのくらいの温度差が目安になるのかは難しいところですが、ダイキンの実験が行われたときの気温は7.8度。そして、エアコン暖房の設定温度が24度なので、その温度差は「約16度」となります。
冬場には気温がもっと下がることもあるでしょう。ですから、温度差が大きくなる場合には外出時間などを考えたうえで、エアコン暖房をつけっぱなしにしておくというのも良い判断になりますよ。参考にしてみましょう。
3.3 エアコンと別の家電などをセットで使おう
エアコン暖房はこたつなどと組み合わせて使うと、電気代が節約できることがよく知られています。エアコン暖房をつけっぱなしにする場合でも、エアコンを自動運転にしてこたつなどと組み合わせて使えば、より節約になるのは言うまでもないでしょう。
窓の断熱なども電気代を節約するためには重要。また、長時間の外出前にはエアコン暖房の代わりにファンヒーターのような短時間で狭い範囲を暖められる暖房器具を使うなど、工夫をすることで電気代はより節約できます。つまり、エアコン暖房をつけっぱなしにして節約することも良いですが、それ以外の方法も上手に取り入れて、臨機応変に対応することも大切なのです。
4 まとめ
エアコン暖房をつけっぱなしにするほうが電気代を節約できるかどうかについて、詳しく解説してきました。外出時にエアコン暖房をつけっぱなしにするかどうかは、外出時間によって変えることが重要ですよ。
また、エアコン暖房のつけっぱなしで電気代を節約することも大切ですが、ファンヒーターを使ったり窓を断熱したりするなど、エアコン以外の面に気を配ることもポイント。電気代を節約したいのであれば、様々なことを見直してみましょうね。