エアコンの除湿と冷房の違い!除湿は電気代が高い?
2020年5月27日 更新梅雨時には便利なエアコンの除湿機能ですが、冷房と除湿機能の違いをご存知ですか?実はエアコンの除湿機能は電気代が高くなることがあるため、上手に冷房と除湿を使い分けないと、電気代を損することがありますよ。
そこでエアコンの冷房と除湿の違いなどを詳しく解説します。エアコンの除湿機能で電気代が高くなることがある理由や冷房と除湿の使い分けなど、今までよりも節約しながらエアコンを便利に使える方法を紹介していきます。
目次
1 エアコンの除湿機能と冷房の違いとは?
エアコンの除湿機能は室温が下がると思っている人も少なくないでしょう。しかし、エアコンの冷房と除湿は違うので、室温を下げるために除湿機能を活用するのは損をしているかも知れませんよ。
1.1 エアコンの除湿機能とは?
エアコンの除湿機能は、文字通りに「湿気を除く機能」と言えます。つまり、エアコンの除湿機能は湿度を下げる機能。温度を下げることは目的にされていないのです。そのため、室温を下げるためには除湿を使うよりも冷房を使うほうが良いと言えます。
また、エアコンの冷房は室温を下げるための機能で同時に湿度も下がります。ですから、温度と湿度を一緒に下げたい場合にはエアコンの冷房を使うことが推奨されているのです。エアコンを使う場合は、湿度を下げたいのか、それとも温度と湿度を下げたいのかで、除湿機能と冷房を上手に使い分ける必要がありますよ。
1.2 冷房と除湿は何が違う?
エアコンの冷房と除湿は、ほとんど同じような機能をしていると言えます。
簡単に説明すると、エアコンの冷房は内部の熱交換器で空気の熱を奪うことで冷たい空気を作って室内に戻します。これを繰り返して設定温度まで室温を下げるのが、エアコンの冷房。
一方で、除湿機能はエアコン内部の熱交換器で空気の熱を奪って冷たい空気を作るという点は冷房と同じです。しかし、空気の温度が下がると、空気中に保てる水分の量が少なくなるというのがポイント。要するに空気の温度を下げることで余分な水分を水滴として取り除くことができるのです。あとは水分量が少なくなった空気を室内に戻すだけ。これを繰り返すことで空気中の水分量を減らすのが、エアコンの除湿機能。
空気の温度が下がると、空気中の水分量が減るというのは「冷たい水が入ったコップに水滴がつく」というのと原理は同じ。コップに近い空気が冷やされて、空気中に保てなくなった水分が水滴になっているのです。
また、冷房でも除湿と同じように空気の温度が下がったことで、余分な水分は水滴として取り除かれてしまいます。そのため、エアコンの冷房でも湿度が下がるのです。
さて、エアコンの冷房と除湿の大きな違いですが、冷房は温度を下げた空気をそのまま室内に戻して室温を下げています。しかし、エアコンの除湿機能では、温度を下げた空気をそのまま室内に戻す場合と温度を上げてから室内に戻す場合の二通りがあります。それぞれの除湿方法を「弱冷房除湿」と「再熱除湿」と言います。
冷房 | 冷房 |
|
---|---|---|
除湿 | 弱冷房除湿 |
|
再熱除湿 |
|
エアコンの除湿機能は弱冷房除湿と再熱除湿の二通り。エアコンの機種によって、どちらの除湿方法が採用されているかは異なるのですが、両方の除湿方法が採用されているエアコンなどもありますよ。
1.3 温度と湿度の関係性
エアコンの除湿機能では、必ずしも室温が下がる訳ではありません。しかし、梅雨時などの蒸し暑いときにエアコンの除湿機能を使うだけでも涼しく感じることがありますよね。これはどうしてでしょうか?
温度の感じ方は人の感覚なので、絶対的なことは言えません。しかし、一般的な話をすれば、人は室温や気温だけではなく、湿度によっても温度の感じ方が異なるのです。つまり、湿度によって体感温度が変わるというのが一般的な見解と言えます。
分かりやすい例では、不快指数があります。不快指数は気温と湿度で、人がどのように感じるかを示した指標の一つ。天気予報などでも使われることが増えているため、聞いたことがないという人は少ないでしょう。また、不快指数は以下の式で導かれます。Tは気温(度)で、Hは相対湿度(%)です。
・不快指数=0.81×T+0.01×H×(0.99×T-14.3)+46.3
不快指数 | 感じ方 |
---|---|
85~ | 暑くてたまらない |
80~85 | 暑くて汗が出る |
75~80 | やや暑い |
70~75 | 暑くない |
65~70 | 快い |
60~65 | 何も感じない |
55~60 | 肌寒い |
~55 | 寒い |
不快指数には風の影響が含まれていないため、必ずしも感じ方が一致する訳ではありません。しかし、湿度が体感に影響を及ぼすことが分かる指標の一つと言えるでしょう。
つまり、エアコンの除湿機能で湿度が下がれば、人は涼しく感じることがあると言えます。ですから、エアコンの除湿に温度を下げる効果がなくても、温度が下がったように感じている人がいるのです。
2 エアコンの除湿機能の電気代
エアコンの除湿は意外と電気代が高くなります。そのため、場合によって、室温を下げるために除湿を使うくらいなら、エアコンの冷房を使ったほうがお得なのです。
2.1 弱冷房除湿と再熱除湿で異なる
エアコンの除湿機能の電気代は、弱冷房除湿と再熱除湿で異なります。
除湿方法 | 電気代 |
---|---|
弱冷房除湿 | 安い |
再熱除湿 | 高い |
エアコンの弱冷房除湿は、冷房を弱で運転しているときと消費電力がほぼ同じ。そのため、エアコンの電気代は安くなります。
一方で、再熱除湿は説明したように一度下がった空気の温度をもう一度上げるため、弱冷房除湿よりも消費電力が大きくなります。ですから、その分だけ電気代も高くなるのです。
また、実際の電気代については、使用時の湿度や温度、設定温度などで異なります。そのため、目安になる電気代を示すことはできませんが、弱冷房除湿は電気代が安くて再熱除湿は電気代が高いと覚えておくと良いですよ。
2.2 エアコンの冷房と除湿機能の電気代を比較
エアコンの除湿機能で室温を下げている人のために、それぞれの除湿方法に加えて、冷房の電気代とも比較してみましょう。
エアコンの機能 | 室温 | 電気代 | 消費電力 |
---|---|---|---|
弱冷房除湿 | 少し下がる | 安い ↑ ↓ 高い |
少ない ↑ ↓ 多い |
冷房 | 下がる | ||
再熱除湿 | ほぼ変わらない |
電気代が最も安くなるのは、エアコンの弱冷房除湿を使ったとき。エアコンの冷房を弱で運転しているのと同じなので、冷房よりも電気代が安くなるのはすぐに分かりますよね。また、一度下がった空気の温度をもう一度上げている再熱除湿の電気代が高くなることも分かるでしょう。
3 エアコンの除湿機能の上手な使い方
エアコンの除湿機能は、状況によって上手に使い分けることが重要。そこで、エアコンの除湿機能を使い分けるポイントを紹介していきます。
3.1 適切な湿度はどのくらい?
エアコンの除湿機能を使う場合、部屋の湿度を目安に使い分けるという方法があります。
人にとって、適切な湿度は「約40~60%」です。湿度が60%を超えると、カビが繁殖しやすい環境になってしまいます。ジメジメと感じて、気温によっては蒸し暑さを覚えることもあるのです。
一方で、湿度が40%を下回ると、今度は乾燥していると感じるようになります。気管支に影響が出やすい環境となり、インフルエンザウィルスなども活発化。健康のためにも部屋の湿度は約40~60%を目安にしましょう。
また、夏場は湿度を低めにして、冬場は湿度を高めにするのが効果的。特に冬場に湿度を高めにすると、風邪やインフルエンザウィルスへの感染も抑制できるとされています。冬に加湿器を使うのも同じ理由ですよ。
3.2 温度を下げるか?湿度を下げるか?
エアコンの除湿機能を使うときは、紹介した適切な湿度を目安にしましょう。
適切な湿度を目安にして、湿度を下げても良いというときは除湿を使います。また、温度を下げたいけれど、湿度はあまり下げないほうが良い場合にはエアコンの冷房を使うようにします。
今まで室温を下げるために除湿を使っていた場合には、これからは温度を下げたいのか、湿度を下げたいのかをよく考えてからエアコンを使うようにしましょう。エアコンの冷房を使っても、少しは湿度を下げる効果があります。その効果も見越して、どうするのが適切かをよく考えてからエアコンをつけてください。
また、エアコンによって、除湿機能が弱冷房除湿なのか、それとも再熱除湿なのかが異なります。両方の機能を持つエアコンもありますが、どちらかの除湿機能しかないエアコンもたくさんあります。電気代を節約するためにも自宅のエアコンの説明書の確認は必須。よく確認してから除湿機能を使うようにしてくださいね。
4 まとめ
エアコンの除湿機能について、電気代や冷房と除湿の使い分けなどを解説してきました。エアコンをつけると、少なからず湿度が下がるのです。空気が乾燥しやすくなるとも言い換えられるため、部屋の湿度を確認してからエアコンの冷房と除湿を使い分けましょう。
また、エアコンの除湿が弱冷房除湿か再熱除湿かで電気代が異なります。自分が使うエアコンが再熱除湿の場合は、除湿機能よりも冷房を使うほうが電気代は安くなるので、よく確認しておきましょうね。