エコキュートとは何?仕組みやメリットデメリットを分かりやすく!
2019年2月28日 更新エコキュートにすると、電気代がお得になるという話はよく耳にします。しかし、エコキュートとは何かがよく知られていないのも事実です。
そこで、エコキュートについて詳しく解説します。エコキュートの仕組みやメリットデメリット、どうすればエコキュートでお得になるのかなど、誰にでも分かるように解説していきますよ。
目次
1 エコキュートとは?
エコキュートとは、電気を使う給湯器。しかも、ガス給湯器よりもランニングコストが安いため、節約志向の人に人気があるのです。
1.1 エコキュートとは?
エコキュートは、お風呂などにお湯を入れるために使われる給湯器。給湯器は給湯システムと呼ばれることもあり、浴槽のお湯張りやキッチンへの給湯など、家庭で使うお湯を賄っているのです。
給湯器が稼働するためにはエネルギーとなる「熱源」が必要。この熱源には、ガス、電気、石油などがあり、それぞれを熱源とする給湯器を「ガス給湯器」「電気給湯器」「石油給湯器」などと呼びます。そして、エコキュートは電気が熱源の電気給湯器です。
また、エコキュートは電気以外にも「空気の熱」も使っています。空気の熱はエコキュートの「ヒートポンプユニット」によって取り込まれて、その空気の熱を水に受け渡すことでお湯を沸かしているのです。つまり、エコキュートは少しの電気だけで効率良くお湯を沸かせるシステムになっています。
1.2 エコキュートの仕組み
エコキュートは空気の熱も使ってお湯を沸かしています。しかし、どうやって空気の熱を使うのか、よく分からないですよね。そこで、もう少し詳しく解説。
エコキュートは「ヒートポンプユニット」と「貯湯タンク」の2つがセットになっています。ヒートポンプユニットで空気の熱を取り込み、水に空気の熱を渡しているのです。そして、熱を受け取った水は温度が上昇してお湯になり、貯湯タンクで保温されます。
ヒートポンプユニットの仕組み | 解説 |
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1. ファンを回して空気を取り込む |
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2. 空気熱交換器で冷媒に熱を受け渡す |
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3. 熱を受け取った冷媒を圧縮機へ送る |
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4. 冷媒を圧縮する |
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5. 圧縮した冷媒を水熱交換器へ送る |
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6. 水熱交換器で水に熱を受け渡す |
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7. 熱を受け取った水を貯湯タンクへ送る |
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8. 熱を渡した冷媒は膨張弁へ移動 |
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9. 冷媒が空気熱交換器へ移動する |
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このヒートポンプユニットの仕組みが繰り返されることで、次々と水を温めてお湯を沸かすのがエコキュートの仕組み。お湯になった水は貯湯タンクに溜まって保温される仕組みで、冷媒は熱を受け取ったり受け渡したりを繰り返す仕組みになっています。
また、ヒートポンプユニットは外の空気を取り込んでいます。外の気温が高ければ、空気はそれだけ多くの熱を持っているということですので、冷媒へ渡せる熱も多くなるのです。冷媒が受け取る熱が多くなれば、それだけ水に渡せる熱も増えます。つまり、エコキュートは外の気温が高いほど、効果的にお湯を沸かせる仕組み。
エコキュートは、夏場はより多くの空気の熱が使えて光熱費を抑えられます。しかし、冬場は真逆。夏よりも使える空気の熱が少ないため、エコキュートの光熱費がどうしても高くなるのです。
それでも冷媒は加熱能力が高く、少しくらい気温が低くてもお湯を沸かすことが可能。外の気温が「-10度」でもエコキュートは問題なく稼働します。ただし、最低気温が-10度よりも低くなる地域では、寒冷地向けのエコキュートにするなどの対策が必要です。お住まいの地域の状況をよく考えてから、適切な機種のエコキュートを導入しましょう。
1.3 エコキュートはどのくらいお得?
エコキュートは電気給湯器ですが、電気の力だけでお湯を沸かしている訳ではありません。エコキュートは空気の熱も使っているため、ガスだけでお湯を沸かすガス給湯器や電気だけでお湯を沸かす電気温水器などよりも光熱費は安くなるのです。
エコキュートは機種によって効率が異なりますが、およそ1の電気エネルギーを使うことで3のエネルギー分のお湯を沸かすことが可能。要するに、電気の力だけでお湯を沸かしている電気温水器の「3分の1の電気代」でお湯を沸かすことができるのです。
また、資源エネルギー庁の「エネルギー白書」によれば、家庭の給湯に関するエネルギー消費は全体の「約28%」となっています。つまり、普段の生活で使うエネルギーの3分の1が給湯に使われているのですから、エコキュートで光熱費が電気温水器の3分の1になるのはかなりお得。エコキュートの電気代の節約効果はかなり優秀と考えられますよ。
さらにエコキュートは深夜にお湯を沸かしています。そして、エコキュートが使う「深夜電力」は通常の電力よりも単価が安いため、より光熱費が抑えられます。ただし、深夜電力を使うための特別な電力契約が必要。一般的にはエコキュートを導入するときにエコキュートの設置業者などが契約を代行してくれるため、心配するほどではないですよ。
2 エコキュートのメリットとデメリット
エコキュートは光熱費が安いというメリットがありますが、デメリットがない訳ではありません。そこで、エコキュートのメリットとデメリットを紹介しておきます。エコキュートを導入する前によく確認しておきましょう。
2.1 エコキュートを選ぶメリット
エコキュートには次のようなメリットがあります。
- 光熱費(ランニングコスト)が安い
- 省エネ性能が高い
- 貯湯タンクのお湯は災害時などにも使える
- 学習機能で必要以上のお湯を沸かさなくて良い
- 災害時はガス給湯器などよりも復旧が早い
- 自治体などから補助金が出る場合がある
- HEMS(Home Energy Management System)に対応している
- オール電化で光熱費が安くなる
エコキュートの最大のメリットは光熱費の安さ。エコキュートは電気単価が安い深夜電力を使っているため、ランニングコストが安くなるのです。つまり、安い電気代でお湯を沸かせるため、ほかの給湯器よりも節約することができます。
ただし、エコキュートで深夜電力を使うためには「オール電化にすること」が必須。オール電化の専用プランで電力契約することで、エコキュートが安い深夜電力を使えるようになります。
また、オール電化にすることはメリットであり、デメリットでもあります。IHクッキングヒーターなどを使って調理できる場合には、オール電化でも気にならないでしょう。しかし、IHクッキングヒーターを使いにくいと感じる人にとっては大きなデメリット。その点だけは理解しておきましょう。
エコキュートのほかのメリットとしては、学習機能があること、省エネ性能が高いことがあります。これらは節約につながるため、デメリットと感じる人はいないでしょう。さらに「HEMS」についても、家庭のエネルギーを管理するためには大切な仕組み。無駄にエネルギーを消費していないかなどを把握するという面でも、エコキュートが対応しているのはかなり有益と言えます。
そのほか、災害時にはエコキュートの貯湯タンクのお湯が使えますし、災害時の電気の復旧も早いと言えます。ガス給湯器よりもエコキュートのほうが有利になるため、これらについても大きなメリットであり、デメリットと思う人はいないですよね。
エコキュートを設置する場合、設置費用に対して補助金が出る自治体などがあります。エコキュートは設置費用が高いというデメリットがありますが、補助金が出れば、電気温水器などよりも安く設置することが可能なケースもあります。そのため、エコキュートの補助金は、設置費用が高いというデメリットを打ち消せるかも知れないメリット。エコキュートを設置する場合には必ず確認しておきたいことの一つです。
2.2 エコキュートを選ぶデメリット
エコキュートには次のようなデメリットがあります。
- 給湯器の中では設置費用が高い
- 貯湯タンク、ヒートポンプユニットの設置場所が必要になる
- 運転音(低周波)が気になる人がいる
- お湯の使い方次第では湯切れを起こす
- 冬の光熱費は夏の光熱費よりも高くなる
- 時間帯別電灯などの契約をする必要がある
- ガス給湯器よりも水圧が低め
- お湯をそのまま飲用できない
エコキュートの最大のデメリットが設置費用の高さ。ほかの給湯器と比較すると、圧倒的にエコキュートの設置費用は高いのです。
例えば、比較的安いガス給湯器であれば、給湯専用の機種で「50,000円前後」で設置可能。メーカーや給湯器の能力が低めでも良ければ、4万円ほどで設置できるガス給湯器などもあります。
一方で、エコキュートは給湯専用の機種でも「250,000円」くらいから。しかも、エコキュートの中でも高い機種になれば、設置費用が50~60万円ということも珍しくないのです。自治体の補助金があっても、ガス給湯器よりも安く設置できるということはほぼないと言えます。もちろん、エコキュートのほうが光熱費は安いので、使っている間にトータルコストでは安くなることも考えられますが、エコキュートの初期費用が出せないで諦めるというケースもあるのです。
また、ガス給湯器よりもエコキュートのほうがサイズも大きく、ヒートポンプユニットと貯湯タンクの2つで1つというデメリットもあります。しかも、ヒートポンプユニットや貯湯タンクを置くために広めのスペースが必要。そして、設置後には「低周波騒音」の問題もあり、エコキュートの運転音が近隣トラブルに発展したケースまであるのです。
さらにエコキュートにする場合、電力契約プランを変更する必要があります。すでに解説したように安い深夜電力を使うプランにするのですが、そうすることで昼間の電力単価は意外と高くなってしまうのです。
一般的には昼間に使う電気のほうが多いので、エコキュート以外の光熱費の面で不利になることがあります。例えば、真夏の昼間などは電気代が高くなることがあるため、エアコンなどのエコキュート以外の電化製品による電力消費が大きくなり、夏の電気代が高くなってしまうこともあるのです。つまり、エコキュートで給湯に必要な光熱費が安くなっても、それ以外の光熱費が高くなれば差し引きゼロ。エコキュートで必ずしもお得になるとは言えません。
2.3 お得にエコキュートを使うためには?
エコキュートをお得に使うためには、オール電化にしたときの電力契約プランである「深夜電力」を上手に活用することがポイント。エコキュートは自動で深夜電力を使ってお湯を沸かしてくれますが、同じ深夜電力でそれ以外の電化製品をどれだけ使えるかが節約には大切になるのです。
一般家庭が深夜に使う電力は、日常生活で使用する電力の「25%程度」とされています。そのため、エコキュートでお得になるためには、少し工夫しなければならないのです。
例えば、深夜電力を使って「蓄電池」を充電すれば、蓄電池の電力を昼間に使うことができます。光熱費は深夜電力単価で支払うため、昼間に使う電気でも安く使うことができるのです。これは、オール電化などにしてエコキュートを使っている家庭だけの特権。一般家庭では真似ができない節約術と言えます。
蓄電池の代わりに「電気自動車(EV)」などを使っても良いでしょう。また、夏のエアコン使用は仕方ないですが、冬のエアコン暖房は「蓄熱式床暖房」にすることでも節約になります。蓄熱式床暖房は家を新築するときに設置するべきですが、エコキュートを使って光熱費を安く抑えたい場合には新築の際に導入を決めておくことをおすすめします。
このように少し工夫するだけで、エコキュートのデメリットをメリットに変えることもできます。低周波騒音のように変えられないデメリットもありますが、それはほかの給湯器でも同じ。すべての給湯器にメリットとデメリットがあります。そのため、デメリットばかりを考えずに、エコキュートのメリットを増やしやすいという特性に注目するほうが良いですよ。
3 まとめ
エコキュートとは何かについて、詳しく解説してきました。エコキュートの仕組みやメリットデメリットを解説してきましたが、どんな給湯器にもメリットとデメリットがあるので、デメリットばかりを考えないようにしましょう。そして、どれだけメリットがあるのか、メリットを増やせるのかを考えて、エコキュートなどの給湯器を選んでくださいね。