エコキュートの電気代は高い?夏場・冬場の月平均額を比較!
2019年2月8日 更新エコキュートは電気代が高いという話をよく聞きます。また、エコキュートは夏場と冬場の電気代も違うという話もありますし、実際にはどうなのかが分からないですよね。
そこで、エコキュートの電気代をシミュレーションしてみます。夏場や冬場の電気代の平均額など、エコキュートの電気代を詳しく比較していきます。エコキュートを導入する前に、実際の電気代がどのくらいになるのかを知っておいてくださいね。
目次
1 エコキュートの給湯の仕組みと電気代
まずは、エコキュートの給湯の仕組みについて解説。同時に、エコキュートの電気代が夏場と冬場で変わる理由も理解しておきましょう。
1.1 エコキュートの給湯の仕組み
エコキュートはヒートポンプユニットを使って、空気を圧縮することで高温の空気を作ります。その空気の熱を使って給水された水を沸かしているのです。その沸かしたお湯は貯湯タンクで保温。使用するときには、水道の水を混ぜて設定温度まで下げてから給湯しています。つまり、エコキュートの貯湯タンクの容量は、そのまま使用可能な水量という訳ではないのです。
また、沸かしたお湯に水を混ぜて給湯するということは、混ぜる水の温度によっても給湯可能な水量が変わります。例えば、冬でも暖かい地方の水温はいくらか高いですが、北海道のように寒い地方の水温は低いですよね。すると、同じ温度になるまでに混ぜることができる水の量は暖かい地方の多く、使用可能な水量も暖かい地方のほうが多いということになります。
要するに、エコキュートの貯湯タンク容量を選ぶときは、自分が住む地域の特性を知ることも重要なポイント。寒い地域に住むときは容量が多めのタンクを選ぶようにするという工夫なども必要になります。
1.2 エコキュートの電気代が夏場と冬場で違う理由
エコキュートは空気の熱を利用してお湯を沸かす給湯システム。そのため、空気の熱が多い夏場はたくさんの熱を利用できるため、電気代が安くて済みます。反対に冬場はエコキュートが空気の熱をあまり利用できないため、電気の力をたくさん使って電気代が高くなるのです。
また、解説したエコキュートの給湯の仕組みから、夏場はエコキュートの貯湯タンク内の温度が低めでも十分な給湯温度を保つことが可能。しかし、冬場は水温が低いため、エコキュートの貯湯タンク内の温度を低めにしてしまうと、給湯温度は保てても使用可能な水量は減ってしまいます。そのため、冬場はエコキュートの貯湯タンク内の温度も高くしておいて、低い温度の水を混ぜたときに作れるお湯の量を増やしているのです。
つまり、エコキュートは、夏場は空気の熱をたくさん利用できるうえに貯湯タンク内の温度が低くても良いため、沸き上げるお湯の温度を低くすることができます。沸き上げるお湯の温度が低ければ、それだけ消費電力が少なくて済み、電気代も安くなるのです。冬場は反対になるため、エコキュートの冬場の電気代は高くなります。このことを頭に入れて、エコキュートの電気代の比較やシミュレーションを行いましょう。
2 エコキュートの電気代を比較!
エコキュートの電気代を考えるときにはいくつかのポイントがあります。電気代を比較するために必要なポイントも同時に知っておくと便利ですよ。
2.1 エコキュートの電気代は使用水量がカギ
エコキュートの電気代で、最も大切になるのが使用水量。当然のことですが、お湯をたくさん使えば、それだけエコキュートが沸かすお湯の量も増えることになります。たくさんのお湯を沸かせば、それだけ電気代が高くなるのは言うまでもないでしょう。
そこでポイントになるが、平均的な使用水量。入浴や洗面などで使うお湯の量は個人差があるので、目安となるエコキュートの月平均額を知りたいときは一般の人が使うお湯の量で計算すると良いでしょう。また、エコキュートの詳しい電気代を知りたいときは、自分が使うお湯の量を考えて計算するようにしてください。
人数 | シャワー | 洗面・台所 | お風呂 | 使用水量 |
---|---|---|---|---|
2人 | 100L | 160L | 200L | 460L |
3人 | 150L | 240L | 200L | 590L |
4人 | 200L | 320L | 200L | 720L |
使用水量の平均値は一覧の通りです。シャワーは1人あたり5分として算出。浴槽にお湯を張る場合、シャワーはそこまで長い時間使わないため、5分間で50Lとなっています。ただし、浴槽にお湯を張らずにシャワーのみという場合には、1分あたり10Lで計算すると良いでしょう。その場合は「お風呂」の項目が必要ありません。
また、洗面は1人あたり20Lという計算。大阪市水道局の水使用量調査のデータを参考にすると、15~20Lが平均となります。世帯の状況によって異なるため、ここでは20Lとしています。
台所は、主に食器の片づけに必要な水量。同じく大阪市水道局のデータでは、食洗機を使わない場合は1回あたりの平均値が20L。1日に3回で人数分の水量として、平均値を算出しています。ただし、食洗機の使用などにより、この水量は異なります。さらに外食などをすれば、使用水量は減ることも考えられるのです。
お風呂については、平均的な浴槽の湯量。浴槽のお湯を少なめにする場合には150Lでも良いでしょう。自分の使用状況を踏まえて、数値をずらして考えましょう。
ここで紹介した数値は、信頼できる各所が調査したデータから割り出した数字です。あくまで平均的な数字であり、調査場所や時期などが変われば、変化することも十分に考えられるため、自分の状況に合わせて数値を上下して考えてくださいね。
2.2 寒い地方の水量と電気代は?
北海道のように寒い地方はエコキュートの電気代も高くなりやすいと言えます。特に水温が低くなる時期にはたくさんの電気を使わなければお湯を沸かせません。また、エコキュートの貯湯タンクに貯めているお湯を使うときでも、混ぜる水の温度が低くなれば、それだけ作れるお湯の量も減ってしまうため、暖かい地方よりも多くのお湯を沸かしておく必要があるためです。
つまり、エコキュートの電気代をシミュレーションするときは、自分が住んでいる地域の水温を知ることが重要。九州地方のように冬場でも比較的水温が高い地域では、同じだけの湯量を使うとしてもエコキュートが沸かすお湯の量は少なくて済みます。それだけ電気代も安くて済むと言えるのです。
月別の水温(度) | 北海道(北見) | 栃木(宇都宮) | 宮崎(宮崎) |
---|---|---|---|
1月 | 0.5 | 3.4 | 9.2 |
2月 | 0.5 | 3.4 | 9.6 |
3月 | 1.3 | 6.8 | 12.8 |
4月 | 7.1 | 12.2 | 17.5 |
5月 | 10.2 | 16.7 | 20.5 |
6月 | 12.8 | 18.8 | 23.4 |
7月 | 15.8 | 22.2 | 27.3 |
8月 | 17.2 | 23.4 | 27.3 |
9月 | 13.3 | 20.2 | 24.7 |
10月 | 9.2 | 15.0 | 19.7 |
11月 | 4.7 | 9.7 | 14.7 |
12月 | 0.6 | 5.2 | 10.8 |
こちらは、財団法人「建築環境・省エネルギー機構」の「建築物の省エネルギー基準と計算の手引 新築・増改築の性能基準(PAL/CEC)」のデータです。各地方の給水温度を抜粋したものですが、北海道と宮崎では明らかに違うことが分かりますよね。
例えば、1月の場合で考えると、90度に近いエコキュートの貯湯タンクのお湯に北海道で1度以下の水を混ぜるのと宮崎で10度に近い水を混ぜるのでは、温度の下がり方が全く違いますよね。もちろん、冷たい水を混ぜたほうが早く温度が下がるため、北海道のほうが作れるお湯は少ないことも分かるでしょう。つまり、エコキュートが沸かしておくお湯の量も北海道のほうが多くなるため、電気代も水温が低い地域のほうが高くなってしまいます。
2.3 エネルギーと消費電力の関係とは?
エコキュートの電気代は消費電力で計算できます。しかし、どのくらいの消費電力になるのか、普通に考えても分からないですよね。そこでポイントになるのが、水をお湯にするために必要なエネルギー。
一般的にお湯を沸かすために必要なエネルギーは「cal(カロリー)」で計算します。この数値を「kWh(消費電力量)」に変換することで電気代が計算できるのです。
また、エコキュートはそれぞれの機種ごとに性能が異なります。高い性能があるエコキュートもあれば、ほかのメーカーのエコキュートよりも性能が低い製品もあるのです。その性能を表すのがAPF。APFは「年間給湯効率」のことで、数値が高いほうが性能は高いと言えます。
- APF(年間給湯効率)=1年で使用する給湯に必要な熱量÷1年で必要な消費電力量
この数字を使うことで、より正確な消費電力量が割り出せます。要するにAPFは給湯効率ですから、実際に使った電力量(消費電力量)にAPFをかけた数値が必要だったエネルギーの量ということになるのです。ですから、消費電力量を求める式は、以下のようになります。
- 消費電力量=実際に必要なエネルギーの量÷APF
理解できない場合は読み飛ばしてしまいましょう。そして、このようにして求めるということだけ理解しておけば、何も問題ないですよ。
2.4 エコキュートの電気代をシミュレーション!
ここからは、実際に電気代をシミュレーションしていきます。エコキュートは運転モードを「おまかせ」などにしておけば、お湯の使用量を学習して貯湯タンクの温度を「約65~90度」くらいの範囲で変えてくれるのです。ただし、この範囲はメーカーや機種で異なるので、自分で購入したいエコキュートや使っているエコキュートを必ず確認しておいてください。
さて、エコキュートの電気代をシミュレーションするには、貯湯タンクのお湯の温度が必要。ここでは「夏場と冬場の月平均額を比較」したいので、冬場は貯湯タンクのお湯の温度が「85度」で、夏場の貯湯タンクのお湯の温度を「65度」として計算します。設定温度は「45度」にしています。なお、具体的な計算式を知りたい場合は、次の項目を参照してください。
まずは、オール電化で採用される「時間帯別の電気料金」などで契約していて、単価が安い深夜電力が使える場合の電気代のシミュレーションです。(比較しやすいように「1kWh=860kcal」として計算しています。)
夏場の消費電力量 (1日あたり) |
北海道(北見) | 栃木(宇都宮) | 宮崎(宮崎) |
---|---|---|---|
2人 | 3.91kWh | 3.04kWh | 2.49kWh |
3人 | 5.02kWh | 3.90kWh | 3.20kWh |
4人 | 6.12kWh | 4.76kWh | 3.90kWh |
夏場の電気代 (1ヶ月あたり) |
北海道(北見) | 栃木(宇都宮) | 宮崎(宮崎) |
---|---|---|---|
2人 | 1685.6円 | 1592.4円 | 972.6円 |
3人 | 2164.1円 | 2042.8円 | 1249.9円 |
4人 | 2638.3円 | 2493.3円 | 1523.3円 |
水温が最も高い8月で、APFは平均的な「3.8」を使っています。また、深夜電力の単価は、北海道「14.37円(北海道電力:eタイム3プラス)」、栃木「17.46円(東京電力:スマートライフ)」、宮崎「13.02円(九州電力:電化でナイト・セレクト)」で計算しています。
消費電力量は「北海道の2人」「栃木の3人」「宮崎の4人」がほぼ同じ。宮崎は水温が高いため、エコキュートの消費電力量も少なくて済むのです。
しかし、電気代に換算すると、ほぼ同じ消費電力量でも違いが出ます。特に深夜電力の単価が最も安い宮崎と最も高い栃木を比較すると、電気代の差は500円以上。地域差は意外と大きいと言えそうです。
もしもオール電化などではなく、一般家庭が契約する「従量電灯」で契約していた場合には、電力単価が大きく異なります。北海道電力の従量電灯Bは「23.54~33.37円」で、東京電力の従量電灯Bは「19.52~30.02円」、九州電力の従量電灯Bは「17.19~25.63円」となるのです。これを基にしてエコキュートの夏場の電気代を計算し直すと、次のようになります。
従量電灯の場合 (夏1ヶ月あたり) |
北海道(北見) | 栃木(宇都宮) | 宮崎(宮崎) |
---|---|---|---|
2人 | 2761.2~3914.3円 | 1780.2~2737.8円 | 1284.1~1914.6円 |
3人 | 3545.1~5025.5円 | 2283.8~3512.3円 | 1650.2~2460.5円 |
4人 | 4321.9~6126.7円 | 2787.5~4286.9円 | 2011.2~2998.7円 |
従量電灯は電気の使用量に応じて料金が加算される仕組み。しかも、使用量が増えると、それだけ単価も高くなります。一般的な深夜電力の2倍以上になるケースもあり、エコキュートの電気代も2倍以上となってしまうのです。
次に冬場のエコキュートの電気代を計算します。こちらも深夜電力が使える場合のエコキュートの電気代からシミュレーション。
冬場の消費電力量 (1日あたり) |
北海道(北見) | 栃木(宇都宮) | 宮崎(宮崎) |
---|---|---|---|
2人 | 6.26kWh | 5.86kWh | 5.04kWh |
3人 | 8.03kWh | 7.51kWh | 6.46kWh |
4人 | 9.80kWh | 9.17kWh | 7.89kWh |
冬場の電気代 (1ヶ月あたり) |
北海道(北見) | 栃木(宇都宮) | 宮崎(宮崎) |
---|---|---|---|
2人 | 2698.7円 | 3069.5円 | 1968.6円 |
3人 | 3461.7円 | 3933.7円 | 2523.3円 |
4人 | 4224.8円 | 4803.2円 | 3081.8円 |
水温が最も低い1月のエコキュートの電気代のシミュレーション。APFは「3.8」で夏場と同じ数値です。
夏場のシミュレーションでは、北にある北海道が最も電気代が高くなりました。しかし、冬場のシミュレーションでは東京電力管内の栃木のほうが電気代は高くなるという結果。もちろん、実際の水温やエコキュートの使い方などでも異なりますが、東京電力管内は深夜電力の電気代が他社よりも高いため、お湯の使いすぎには注意したいということが分かりますよね。
さらに、冬場のエコキュートの電気代について、従量電灯の場合でもシミュレーション。次のような結果になります。
従量電灯の場合 (冬1ヶ月あたり) |
北海道(北見) | 栃木(宇都宮) | 宮崎(宮崎) |
---|---|---|---|
2人 | 4420.8~6266.9円 | 3431.6~5277.5円 | 2599.1~3875.3円 |
3人 | 5670.8~8038.8円 | 4397.9~6763.5円 | 3331.4~4967.1円 |
4人 | 6920.8~9810.8円 | 5370.0~8258.5円 | 4068.9~6066.6円 |
もしもエコキュートの電気代がこの金額とすれば、確かに高いと感じるでしょう。しかし、エコキュートは深夜電力を使うため、上で紹介したような金額になるはずです。4人家族で、冬場の給湯の電気代が「約3,000~5,000円」であれば、水道の水も冷たい季節ですから妥当な金額と言えますよね。
2.5 エコキュートの電気代の計算方法は?
ここまでにシミュレーションしてきたエコキュートの電気代は、あくまで想定される使用水量などを使った数値です。しかし、自分はもっと使用水量が少ないという人もいれば、もっと多くお湯を使うという人もいますよね。そこで、エコキュートの電気代をシミュレーションするときの計算方法を解説。
まずは、計算に必要な条件やデータを調べておきましょう。
- 設定温度は?(例:45℃)
- 使用するお湯の量は?(例:3人で590Lなど)
- 契約している電力会社の深夜電力の単価は?(例:東京電力「17.46円」など)
- 貯湯タンク内の温度は?(例:65~85℃)
- シミュレーションする季節の水温(水道の給水温度)は?(例:0.5℃)
- エコキュートのAPFは?(例:3.8)
これだけの条件やデータを調べておきます。使用するお湯の量などは、上で紹介した目安などを活用しても良いでしょう。また、貯湯タンク内の温度は目安ですので、上のシミュレーションで使ったように「夏場は低くて冬場は高い」ということを頭に入れておけば大丈夫ですよ。
設定温度、深夜電力の単価、エコキュートのAPFは分かりますよね。設定温度は自分で決めていますし、深夜電力の単価はホームページなどでも確認可能。エコキュートのAPFは説明書などを見るか、自分が購入したいエコキュートのカタログなどを参考にすると、必ず書いてありますよ。
ここからは理数系の解説が入りますので、理数系が苦手という人は少し読み飛ばして最後にある計算式に数字を当てはめてくださいね。
さて、エコキュートの電気代を計算するときに大切になるのが、水温と質量が異なる水を混ぜたときの水温がどうなるか?この計算式。
★質量が異なる水を混ぜたときの水温を求める計算式★
水温「T1(℃)」の水「M1(g)」と水温「T2(℃)」の水「M2(g)」を混ぜた場合、でき上がる水の温度「T(℃)」は次の式で求めることができます。
エコキュートは、貯湯タンクのお湯と水を混ぜて給湯しています。つまり、この計算式で設定温度になるときのお湯の量を求めているのです。そして、上の式を変形して、必要なタンク内のお湯の量を求めます。
★必要なエコキュートのタンク内のお湯の量を求める計算式★
必要なタンク内のお湯の量を「T1(℃)」で「M1(g)」とします。混ぜる水の量を「T2(℃)」の水「M2(g)」とした場合、でき上がる水の温度「T(℃)」が設定温度で、使用水量が「M1+M2」となります。
この式から、必要なタンク内のお湯の量「M1」を求める形にします。
これを上の式に代入。
移項して、右辺を使用水量でくくると、
水の場合、1L=1,000gですよね。M1は「g」で計算していますが、使用水量も「g」なので、両辺を「1,000」で割る手間を省いて「L」に置き換えることもできます。つまり、上の式で「必要なタンクのお湯の量」を求めることができるのです。
次に求めるのは、お湯を沸かすために必要なエネルギー量。一般的には「cal」で計算するため、計算結果が「kWh」になるような式を使いましょう。
★お湯を沸かすために必要なエネルギー量を求める計算式★
1gの水の温度を1℃上昇させるために必要なエネルギー(比熱)は「4.2(J/gK)」です。高校の物理などで習いますが、国際単位系の「J(ジュール)」が使われています。
しかし、小数点がつくなど、細かな数字の計算が必要になるため、「J」を「cal」にします。すると、比熱は「1(cal/gK)」となります。要するに、1gの水の温度を1K(K:ケルビン)上昇させるためには1calのエネルギーが必要となるのです。1Kの温度上昇は1℃の温度上昇と同じため、1℃でも比熱は同じ。また、水が1kgであれば、1,000倍のエネルギーが必要なので1kcalとなります。
さて、エコキュートの場合、水道から供給された水を沸かしてお湯にします。つまり、エコキュートのお湯の沸きあがりの温度(貯湯タンク内の温度)と水温の差の分だけ、水の温度を上昇させるエネルギー量を求めると良いのです。
必要なエネルギー量を「E」とした場合、求める計算式は以下の通り。
このようになります。比熱が1kgあたりのカロリーとなっているため、お湯の量は「kg」で計算します。また、使用水量を「L」にする場合は「1kg=1L」とすることができますし、温度の「K」は「℃」と置き換えることも可能。それらを踏まえて、上の式の書き直すと、次のように変換することができます。
比熱は「1kcal/kg℃」で、kgからLに変換する数値も「1kg/L」なので、数式は次のように簡略化できます。
次に電気代を求めるためには「kcal」を「kWh」に変換する必要があります。単位換算では「1kWh=860kcal」と決まっているため、上の式で出たエネルギー量を「860」で割ると、「kcal」から「kWh」に変換することができるのです。
この式でエコキュートがお湯を沸かすために必要なエネルギー量が求められます。
エコキュートがお湯を沸かすために必要なエネルギー量が分かったら、最後にエコキュートの熱効率を考慮することで、実際にエコキュートが使った「消費電力量」が分かりますよ。
★エコキュートの消費電力量を求める計算式★
エコキュートの消費電力量を求めるためには、必要なエネルギーと消費電力量の関係が分からなければなりません。その関係を表すのが、エコキュートのAPF。
APFは「年間給湯効率」と呼ばれる数字ですが、すでに説明したように「1年で使用する給湯に必要な熱量÷1年で必要な消費電力量」で求められます。この数値を使って、必要なエネルギー量から消費電力量を求める計算式は、次のようになるのです。
これでエコキュートの消費電力量が求められたので、この数値から電気代を算出。
電気代は、消費電力量に深夜電力の単価(電力量料金)をかけることで求められます。
計算式の解説はここまで、最後に数字を当てはめるだけの計算式をまとめておきます。
★エコキュートの電気代を求める計算式と手順★
1:必要となるエコキュートのタンク内のお湯の量を求める。
2:必要となるエコキュートのお湯を沸かすために必要なエネルギー量を求める。
3:エコキュートの消費電力量を求める。
4:エコキュートの消費電力量から電気代を求める。
これで、その時期のエコキュートの1日の電気代を求めることができます。
★補足説明★
計算式の正しさは、以下の通りに確認できます。
上の式から、単位のみを書き出す。
分数の「℃」は上下で同じなので、単位が消えます。その結果、両端が「L」になって単位が揃うため、式に問題がないことが確認できます。次も同様。
この式を単位のみに書き換えます。
省略しているkgからLへの変換数値と比熱の単位を書き加えます。
先程と同じように単位を数字の計算式のように消していくと、残るのは「kWh」となって両辺が同じになります。これで計算式に問題がないことが確認できます。
この式はAPFに単位がないため、そのまま両辺は「kWh」で揃っています。そして、最後の式も単位のみにします。
計算すると、kWhが消えて「円」という電気代の単位になることが確認できます。これで計算式の正しさが確認できますよ。
3 まとめ
エコキュートの電気代について、夏場や冬場の月平均額を比較してみました。ここで紹介した数字は、あくまでシミュレーションの結果です。エコキュートの使い方や地域の水温などによっても電気代は異なります。そのため、エコキュートの電気代の目安と考えておきましょうね。
また、こちらの記事では、時間帯ごとのエコキュートの電気代や、オール電化にした場合のエコキュートの節約方法などについてもご紹介しています。
オール電化のエコキュートは高い?毎月の電気代や安い時間帯とは?
今回はエコキュートの電気代の計算方法や地域ごとのシミュレーションなどを重点的にお話ししましたが、こちらの記事では、家電製品ごとの具体的な消費電力などにも触れています。
エコキュートで節約する上で有益な情報だと思うので、是非、参考にしてみてくださいね!