エコジョーズはガス代節約にならない?普通の給湯器の価格と比較
2018年11月9日 更新エコジョーズは、従来の給湯器よりもガス代を節約できるとされています。しかし、実際にエコジョーズを導入しても、普通の給湯器とガス代が変わらない、ガス代の節約にならないと感じている人は少なくないようです。
実は、エコジョーズでガス代を節約するためには、大切なポイントがあることをご存知ですか?そのポイントを押さえてエコジョーズならではの使い方をすれば、しっかりとガス代を節約することができますよ。ここでは、エコジョーズと普通の給湯器を比較しながら、エコジョーズでガス代を節約するための方法を解説しています。
目次
1 エコジョーズと給湯器の違いとは?
ガス代が節約できるとされているエコジョーズですが、普通の給湯器と何が違うのでしょうか?エコジョーズの仕組みやメリットデメリットから、エコジョーズでガス代がお得になる理由を考えてみましょう。
1.1 エコジョーズとは?
エコジョーズとは、従来の給湯器が排出していた「熱」を再利用することで、ガスによる湯沸かしの熱効率を効果的にアップしている給湯器です。
一般的なガス給湯器は、水道管から供給された水をガスバーナーで加熱してお湯を沸かしています。しかし、ガスコンロを想像しても分かるように、給湯器でも加熱のときは水が通る管以外の部分まで加熱してしまうのです。つまり、従来のガス給湯器では余分な熱が放出されていたため、無駄がありました。
そこで、エコジョーズでは、従来のガス給湯器が放出していた熱を再利用しているのです。エコジョーズには熱交換器が2つ設置されていて、一つが水の加熱に使う熱交換器、もう一つが水道から供給される水を加熱前に温める熱交換器というように使い分けられています。要するに、エコジョーズでは、ガスバーナーで水を加熱する前に、これまで放出していた熱で水を温めておくことで、効率良くお湯を沸かすことができるのです。
エコジョーズでは熱の再利用によって、熱効率がアップしています。事実、経済産業省の「資源エネルギー庁」もエコジョーズについて、省エネ効果が高い製品と紹介しているのです。そこではエコジョーズを「潜熱回収型給湯器」として紹介。従来の給湯器の熱効率が約80%だったのに対して、エコジョーズは熱効率が約95%で「15%の効率アップ」が見込める省エネ製品と推奨しています。
1.2 エコジョーズのメリット
給湯器をエコジョーズにすると、一般的には次のようなメリットがあるとされています。
- ガス代が節約できる
- 給湯効率がアップする
- 二酸化炭素の排出量を削減できる。(約13%削減)
- 湯切れが起きない
- 短時間で給湯される
エコジョーズにするメリットで注目するのはガス代の節約。エコジョーズの仕組みで説明したように、エコジョーズは従来の給湯器よりも熱効率が約15%アップしています。資源エネルギー庁も認めていることなので、エコジョーズでガス代が節約できるのは確かなことと言えるでしょう。
また、エコジョーズは二酸化炭素の排出を抑えることもできます。二酸化炭素の排出削減は、地球温暖化防止には欠かせませんよね。当然、家庭の光熱費を抑えるためには、地球の気温が上昇しないほうが良いので、エコジョーズの二酸化炭素の排出削減は巡り巡って光熱費の削減に関係しているのです。
1.3 エコジョーズのデメリット
給湯器をエコジョーズにするデメリットには次のようなものがあります。
- 安くなるのは給湯費用のみ
- 初期費用が高い
- 設置できない場所がある
エコジョーズの最大のデメリットが設置できない場所があること。エコジョーズは普通の給湯器よりも湯気が多く出てしまいます。この湯気が冷やされると「ドレン水」となり、簡単に言えば「酸性の水」と言えるのです。もちろん、機器内部で中性にされるので、人体に影響が及ぶということはありません。それでも適切な排水処理が求められるため、エコジョーズを設置するときに「ドレン排水工事」が必要になるのです。
エコジョーズを設置するときには、ドレン排水工事が行える環境にあることが重要。また、エコジョーズから排出される湯気の影響が出ない場所にエコジョーズが設置できることも大切になるのです。このようなことから、エコジョーズは設置場所を選ぶと言えます。
また、エコジョーズは普通の給湯器よりも本体価格が高く、初期費用が高くなる傾向が強いとされています。さらに、エコジョーズでガス代が節約できるのは「給湯に関するガス代のみ」です。ガスコンロやガスファンヒーターなどを存分に使えば、エコジョーズで節約したガス代も無意味。エコジョーズにすれば、絶対にガス代が節約できると思い込まないようにしましょう。
2 エコジョーズと普通の給湯器を比較
エコジョーズは、普通の給湯器よりも約15%も熱効率がアップしています。そこでどう違うのか、エコジョーズと普通の給湯器をより詳しく比較していきます。
エコジョーズは普通の給湯器よりも本体価格が高い点がポイント。ランニングコストはエコジョーズのほうが安いのですが、どのくらいの期間で初期費用を取り戻せるのかを考えるためにも、本体価格を知ることが大切ですよ。
種別(リンナイ製品) | 品番 | 希望小売価格(税抜) |
---|---|---|
エコジョーズ | RVD-E2405AW2-1(A) | 420,000円 |
給湯器 | RUFH-A2400AW2-1 | 396,000円 |
エコジョーズを始めとして、給湯器を多く取り扱う「リンナイ」の製品で比較しています。エコジョーズも給湯器も希望小売価格ですが、大きな金額の差はないと言えるでしょう。
種別(リンナイ製品) | 品番 | ネットの実売価格(税抜) |
---|---|---|
エコジョーズ | RVD-E2405AW2-1(A) | 約126,000円~ |
給湯器 | RUFH-A2400AW2-1 | 約122,000円~ |
エコジョーズと給湯器について、ネットの実売価格を調べてみると価格差はぐっと縮まっています。数万円の差が、わずか4,000円の差になっています。どちらも同じ店舗の価格なのですが、取り付け工事費は別です。しかも、取り付け工事費は、エコジョーズのほうが「5,000円安い」という概算。
エコジョーズのほうが本体価格は高いという話ですが、実売価格ではそうとも言いきれないのが実情と言えるでしょう。また、概算ですが、工事費込みでは「エコジョーズのほうが安い店舗もある」ということも忘れないでくださいね。
(上記のような製品の工事費込みの最安値を比較する際には、工事屋さん.comをご利用ください https://ko-jiyasan.com/ecojozu/ )
2.2 ガス代で比較すると?
エコジョーズにすれば、ガス代が節約できるというのがポイント。そこで、エコジョーズと給湯器のランニングコストで比較してみましょう。ランニングコストに関するデータは、リンナイのホームページより抜粋しています。
種別(リンナイ製品) | 品番 | ランニングコスト |
---|---|---|
エコジョーズ | RVD-E2405AW2-1(A) | 約122,000円 |
給湯器 | RUFH-A2400AW2-1 | 約137,150円 |
年間のランニングコストは、エコジョーズのほうが「約15,150円」もお得です。もしもエコジョーズを希望小売価格で購入したとしても、およそ1年半もすれば、エコジョーズのほうがコストパフォーマンスの良い製品となります。
また、実売価格で考えれば、エコジョーズのほうが安く購入できる可能性もあります。もしもエコジョーズを安く買えたとしたら、どう考えてもエコジョーズのほうがお得ですよね。
そして、エコジョーズのほうがお得になるというのは、他社のエコジョーズでも同じ。他社のエコジョーズのランニングコストについて、一部を見てみましょう。
メーカー | 従来の給湯器 | エコジョーズ | 差額 |
---|---|---|---|
ノーリツ | 約149,200円 | 約126,200円 | 約23,000円 |
パロマ | 約88,900円 | 約76,700円 | 約12,200円 |
パーパス | 約86,130円 | 約72,530円 | 約13,600円 |
費用の算出方法が異なるため、一概に比較はできません。それでも、どのメーカーでもエコジョーズにすればランニングコストが安くなることは分かるでしょう。
2.3 エコジョーズと普通の給湯器のどちらが良い?
結局のところ、エコジョーズと普通の給湯器のどちらが良いのか、そこが問題ですよね。リンナイ製品で比較したように、エコジョーズの初期費用が高いとしても数万円の話です。実売価格に工事費用まで考えると、エコジョーズのほうが安いという場合もあるため、普通の給湯器を選ぶ理由がないでしょう。
普通の給湯器を選ぶのは、エコジョーズが設置できない場合くらい。ランニングコストもエコジョーズのほうが安くて、初期費用はすぐに取り戻せます。エコジョーズか普通の給湯器かで迷うまでもなく、エコジョーズを選ぶほうが良いですよ。
3 エコジョーズでガス代を節約する方法
エコジョーズにしてもガス代の節約にならないという人がいます。実は、エコジョーズにしてもガス代が安くならないのには理由があるのですが、そのことを理解していないとエコジョーズにして後悔することになりますよ。
3.1 エコジョーズなのにガス代の節約にならない理由
エコジョーズにしてもガス代が安くならない場合、その最大の理由はお風呂。エコジョーズは給湯器ですが、そのエコジョーズで沸かしたお湯をお風呂にしか使っていない家庭ではガス代をあまり節約できないのです。
エコジョーズにすると、すぐにガス代が節約できると思いがち。しかし、エコジョーズで節約できるのは「給湯に関するガス代のみ」ですので、ガスコンロなどで使うガス代は従来と変わりません。そのうえ、エコジョーズで沸かしたお湯をお風呂にしか使わないようでは、節約できるガス代も限られてしまうのです。
具体的には、ノーリツの試算を参考にするのが分かりやすいでしょう。
種別 | 給湯 | お風呂 | 合計 |
---|---|---|---|
エコジョーズ | 約108,800円 | 約17,400円 | 約126,200円 |
従来の給湯器 | 約129,200円 | 約20,000円 | 約149,200円 |
すでに紹介したエコジョーズにしたときに節約できる費用の試算です。しかし、ノーリツによる内訳を詳しく見ると、お風呂で節約できるガス代は「年間2,600円」という試算。つまり、ひと月当たりでは「約216.6円」になります。
確かにエコモードや様々なガス会社のプランに加入することで、これ以上の節約が見込めるのがエコジョーズと言えます。しかし、お風呂の給湯にのみエコジョーズを使う場合には、月に200円程度しか節約できないこともあるのです。つまり、エコジョーズにしたのにガス代が節約できないと感じる場合、エコジョーズをお風呂の給湯にしか使っていないことなどが原因と考えられます。
3.2 専用プランを利用しよう
エコジョーズでガス代を節約するポイントは、ガス会社が提供する専用プラン。エコジョーズに変えるだけでも料金が割引になるガス会社が多いのですが、さらに浴室暖房乾燥機などを使っている場合にはもっと割引になるプランなどがあります。
要するに、自宅で使っているガス機器をよく考えて、最もお得になるエコジョーズの専用プランを選ぶことが大切になるのです。エコジョーズに変えるときは、自分が契約しているガス会社の専用プランもよく調べてみましょう。
3.3 LPガスから都市ガスへ
ガス代を節約するポイントの一つが都市ガス。LPガスでも都市ガスでも、エコジョーズを導入できます。しかし、一般的にはLPガスは料金が高く設定されているため、都市ガスに変更するだけでもガス代を節約できるのです。
資源エネルギー庁が平成25年に調査したデータでは、1.86倍もLPガスのほうが高くなっています。価格差が小さい地域でも、LPガスが約1.3倍も高いという結果。つまり、エコジョーズにしてガス代を節約したい場合は、エコジョーズにするときに都市ガスに変えることも大きなポイントになるのです。
3.4 エアコン暖房から床暖房へ
エコジョーズでガス代を大きく節約する方法が、床暖房の導入。エコジョーズにしたのであれば、エアコン暖房から床暖房にするほうが圧倒的に節約になります。
実質的にはガス代は床暖房の分だけ高くなりますが、床暖房にすればエアコン暖房を使わなくて済むため、合計の光熱費では電気代が減らせるのです。しかも、床暖房を使うことで、エコジョーズと床暖房を組み合わせた専用の割引プランなどが適用されることになり、ガス代がさらに割引価格になります。つまり、エコジョーズにするのであれば、エアコン暖房から床暖房にするほうが光熱費の節約になるのです。
床暖房の設置費用は安くないですが、空気は乾燥しにくいですし、ホコリが舞わないというメリットもあります。廊下のように暖房器具を設置しにくい場所でも床暖房なら設置可能。メリットも多いので、床暖房を検討するのも悪くないのです。
また、浴室暖房乾燥機などを導入しても、エコジョーズと組み合わせて割引になるプランなどがあります。そのため、エコジョーズにするなら、床暖房や浴室暖房乾燥機などと組み合わせて使うのがガス代節約には有効ですよ。
4 まとめ
エコジョーズと普通の給湯器を比較しながら、エコジョーズでガス代を効率良く節約する方法を解説してきました。お風呂のお湯だけにエコジョーズを使うと、どうしてもガス代を節約するのは難しくなります。そのため、ガス代を節約したいのであれば、エコジョーズを床暖房や浴室暖房乾燥機などと組み合わせて使うことが大切です。
自宅に床暖房が設置されていたり、ガス温水式浴室暖房乾燥機を使っていたりする場合には、普通の給湯器よりもエコジョーズにするほうがお得。エコジョーズへの交換を検討してみましょう。