湯沸かし器と給湯器の違いは?仕組みや電気代、使いやすさを比較
2018年11月22日 更新湯沸かし器も給湯器も、お湯を沸かすための機器という点では同じと言えます。しかし、湯沸かし器と給湯器の違いは分かりにくいですし、どういう使い分けをするのが良いのか、分からないという人も少なくないですよね。
そこで、湯沸かし器と給湯器の違いについて、詳しく解説していきます。湯沸かし器と給湯器の仕組みや使いやすさなどを比較するので、それぞれを使い分けるときの参考にしてくださいね。
目次
1 湯沸かし器と給湯器の違いとは?
実は、湯沸かし器と給湯器は全く違います。そのため、湯沸かし器を給湯器の代わりに使うことはできないのです。しかも、湯沸かし器を給湯器の代わりに使うのは危険なので、絶対にやめておきましょう。
1.1 湯沸かし器と給湯器の仕組みはほぼ同じ
湯沸かし器と言えば、一般的にはキッチンなどで使う「ガス瞬間湯沸かし器」のことを指して言います。確かにお風呂のお湯を沸かす機器も湯沸かし器と呼ぶこともあるでしょう。しかし、混同を避けるためにもお風呂を沸かす機器は「風呂釜」と呼ぶほうが良いですよ。
また、近年はガス以外を使っている湯沸かし器があって、電気を使った湯沸かし器は「小型電気温水器」などと呼ばれることが一般的。小型電気温水器もガス瞬間湯沸かし器と同じような感覚で使えて、とても便利ですよ。
さて、ガスを使った湯沸かし器の仕組みを詳しく見ていくと、ガス給湯器と大きな違いはありません。湯沸かし器の中を通る水の配管が細くなっていて、その配管をガスバーナーで効率良く加熱してお湯を作っているという仕組み。この仕組みは瞬間式のガス給湯器に近いと言えますよ。
また、TOTOなどが湯沸かし器の一つと考えられる「小型電気温水器(湯ぽっと)」を販売していますが、こちらはタンクに水を貯めておいて電気ヒーターでお湯を沸かすという仕組み。この仕組みは一般的な電気温水器(給湯器)とほぼ同じと言えます。つまり、湯沸かし器の仕組みは「給湯器とほとんど同じ」と言えるでしょう。
さらに、ガス瞬間湯沸かし器などの一般的な湯沸かし器は「元止め式」と「先止め式」の2種類があります。元止め式は「お湯の出口が一ヶ所」で、先止め式は「お湯の出口が複数ある」という違い。キッチンのガス瞬間湯沸かし器は元止め式のことも多く、コンパクトで後からでも設置できるというメリットなどがありますよ。
また、小型電気温水器も同様で、設置場所を選ばないコンパクトなサイズ。給湯器と比較すると、小型電気温水器やガス瞬間湯沸かし器はとても小さいのも特徴の一つです。つまり、使いたい場所に手軽に設置できるのが、湯沸かし器の大きな特徴と言えますよ。
1.2 湯沸かし器と給湯器の違い
湯沸かし器と給湯器の仕組みはほぼ同じですが、大きな違いがあります。それが大きさと能力。
湯沸かし器の大きさは、すでに解説したようにコンパクトサイズ。湯沸かし器を使いたい場所に設置できるサイズで、後からでも設置可能というメリットなどがあります。しかし、給湯器は設置が大がかりになるサイズ。屋内設置や壁掛けタイプもありますが、それでも湯沸かし器よりも大きなサイズというのが一般的です。
また、湯沸かし器と給湯器は仕組みが似ていても、その能力は湯沸かし器と比較できないくらいです。給湯器は浴槽にお湯をいっぱいに入れるだけの能力があります。しかし、湯沸かし器で同じことをしようとしても無理。湯沸かし器の故障の原因となることも考えられるため、湯沸かし器で浴槽のお湯はりをするのは不可能と言えるでしょう。
また、TOTOの小型電気温水器などはガス瞬間湯沸かし器の代わりに使える湯沸かし器とも言えますが、やはり能力は限定的。貯湯タンクの量は35Lまでになっていて、標準的な浴槽の水量が200~300Lであることと比較するまでもないのです。
このようなことから、湯沸かし器は「洗面所」や「キッチン」で使うことが目的に作られていて、給湯器は「お風呂」や「それ以外の場所への給湯」までも視野に入れて作られているということが分かります。ですから、湯沸かし器は使う場所が限定されている場合に選び、様々な場所でお湯を使いたい場合には給湯器を選ぶようにする必要があるのです。
2 湯沸かし器と給湯器を比較
限定した場所で使うには湯沸かし器が便利と言えます。しかし、お風呂も含めて広い範囲で使うのであれば、給湯器のほうが便利なので使い分けが難しいですよね。そこで、湯沸かし器と給湯器をもう少し詳しく比較していきます。
2.1 光熱費の違い
湯沸かし器と給湯器で、多くの人が気になるのが光熱費の違い。もちろん、給湯器はお風呂以外にも洗面所やキッチンで使う人もいるので、簡単に光熱費を比較することはできません。
しかし、湯沸かし器は洗面所やキッチンで使うだけですし、時間も短いと言えますよね。しかも、安全性を考えてある湯沸かし器には「消し忘れ消火機能」があることも多く、10分を超えると自動的に消化されてしまうのです。
つまり、湯沸かし器は長く使っても10分程度というのが一般的。また、小型電気温水器でも使い方は同じなので、長時間使う給湯器と比較するまでもなく、湯沸かし器は光熱費がかなり安くて済むと言えるでしょう。
ただし、給湯器の光熱費も使い方次第。給湯器の電気代を安くしたいと思うのであれば、電気温水器よりもエコキュートしたほうが良いと言えます。電気温水器からエコキュートにするだけで、電気代は3分の1以下。しかも、エコキュートは湯沸かし器の代わりにキッチンなどへの給湯も行えるので、湯沸かし器がなくても困らなくなると言えます。要するに、湯沸かし器と給湯器の光熱費を比較するよりも、湯沸かし器をつける必要があるかどうかを考えることのほうが重要になるのです。
2.2 給湯器からの距離が遠いと損をする?
では、湯沸かし器をつける必要があるかどうかは、どうやって判断すれば良いのでしょうか?例えば、給湯器の中でも光熱費が安いエコキュートを設置した場合、湯沸かし器は必要なくなるのかと言えば、そうとは限りません。なぜならば、エコキュートなどの給湯器を設置した場所からの距離が遠くなれば、お湯が送られるまでに冷めてしまう可能性があるからです。
つまり、お湯が出るまでに「水を流し続ける必要がある」ということになります。この流し続ける水は「捨て水」と呼ばれていて、給湯器からの距離が長くなれば、それだけ多くの水が流されてしまいます。
捨て水が多いと、給湯器の光熱費が安くても水道代が損。水道代で損をするくらいなら、短時間しか使わないことでガス代や電気代を抑えられる湯沸かし器を設置したほうが良いということになるのです。
一方で、洗面所は浴室との距離が近い場合も多いので、湯沸かし器を設置するよりも給湯器からの給湯を選ぶほうが得になることが多いと言えます。間取りなどによっても異なりますが、距離が近い場合は湯沸かし器と給湯器を分けるメリットは少ないのです。
2.3 時間帯や湯量も考慮する
もう一つ考えておきたいのが、お湯を使う時間帯と湯量。朝から洗面所で洗髪する人などは、お湯を多く使いますよね。このように洗面所やキッチンで使うお湯の量が多い場合、給湯器の貯湯タンクのお湯がなくなってしまう「湯切れ」が起こる可能性があります。湯切れになると、給湯器は昼間の高額の電気代を消費してもお湯を沸かすことになるのです。
エコキュートなどの給湯器は深夜の安い電力を使ってお湯を沸かすことで、電気代を安くしています。しかし、給湯器のお湯がなくなれば、昼間の高い電気代でも関係なく、お湯を沸かす必要が生じてしまうでしょう。そうなれば、給湯器の電気代は高くなってしまいます。
反対に、洗面所やキッチンで使うお湯の量が多い場合、給湯器のお湯を使わずに湯沸かし器をつけていれば、湯沸かし器で使った分の電気代やガス代が必要になるだけです。もちろん、湯沸かし器の電気代やガス代が安いとは限りませんが、給湯器が昼間の電気代でお湯を沸かすよりは経済的。要するに、増える光熱費は湯沸かし器を使っている間だけなので、そこまで高くなることはないのです。
また、帰宅時間が遅い人などは、お風呂に入ったあとで食器洗いなどをすれば、給湯器のお湯がなくなっているかも知れません。家族構成にもよりますが、両親と子どもがいる場合などは給湯器のお湯はお風呂でかなり減っていることも考えられます。そこで食器洗いなどをすれば、お湯が足りなくなることもあるでしょう。
そういう場合も、湯沸かし器があるほうが便利。給湯器のことを気にする必要もありませんし、家族がお風呂に入っていても湯沸かし器のお湯で安心して食器洗いができますよね。
3 まとめ
湯沸かし器と給湯器の違いを解説してきました。湯沸かし器は、給湯器があれば必要ない場合もあるでしょう。しかし、家族構成や家の間取り、使う湯量などによっては、湯沸かし器があったほうが節約になる場合もあるので、十分に検討してくださいね。
特に給湯器は湯切れがあって、お湯をたくさん使う家庭では湯沸かし器があるほうが安心の場合が多いと言えます。洗面所やキッチンで多くのお湯を使う家庭は、小型電気温水器やガス瞬間湯沸かし器の設置を考えたほうが得ですよ。