ガスコンロとIHを比較!メリット・デメリットやコストは?
2020年4月20日 更新家庭の調理機器と言えば、ガスコンロとIHクッキングヒーターの2種類があります。それぞれにメリットとデメリットがありますが、自分のライフスタイルに合うメリットがある調理機器を使いたいですよね。
そこで、ガスコンロとIHクッキングヒーターのメリットとデメリットを比較しながら解説します。ガスコンロとIHを導入するときの初期費用や光熱費などのコストも比較して紹介するので、自分のライフスタイルに合う調理機器を選ぶときの参考にしてください。
目次
1 ガスコンロとIHクッキングヒーターの違いを比較!
ガスコンロとIHクッキングヒーターは、熱源がガスと電気という違いだけではありません。それぞれの仕組みや特徴が異なることで、その使い勝手にも大きな違いが出てしまうのです。
1.1 ガスコンロとIHの仕組みと特徴を比較
ガスコンロとIHクッキングヒーターの最大の違いは熱源。ガスと電気の違いだけと思いがちですが、実はガスコンロとIHでは仕組みも大きく異なっています。
調理器具 | ガスコンロ | IHクッキングヒーター |
---|---|---|
熱源 | 都市ガス LPガス(プロパンガス) |
電気 |
熱効率 | 約40~45% (都市ガス4000kcal) |
約86~90% (IH2.5kW) |
加熱の仕組み | ・ガスを燃焼させた熱を使って調理を行う | ・電気を流したときの電気抵抗によって発生した熱を使って調理を行う |
ガスコンロは、ガスを燃焼させたときに出る熱で調理をします。しかし、学校でも習うようにガスコンロのバーナーは空気がなければ、ガスを燃焼させることができないですよね。そのため、空気を取り込めるようにガスコンロには「五徳」という鍋を置く台がバーナーの部分に設置されています。
ただし、五徳のすき間からはバーナーの熱が逃げてしまうため、熱効率は低下。ガスコンロで調理をしたときに周囲が暑くなってしまうのも、熱が逃げているためです。つまり、ガスコンロは強い火力が出る反面、無駄になっている熱も大きいという特徴もあります。
IHクッキングヒーターは「電気誘導加熱」という英語の頭文字からIHと呼ばれます。IHの中には磁力を発生させるための「コイル」があり、これに電気を流すと磁界が発生。磁界は磁力線によって表すことができて、その磁力線による「うず電流」が流れるときには「電気抵抗」があります。この電気抵抗が熱を生み出しているため、その熱を調理に使うというのが、IHの仕組みなのです。IHの仕組みは難しいですが、仕組み自体は小学校で習う電磁石の仕組みと同じ。
IHの電気抵抗は鍋自体の抵抗ですから、外部から熱を加えているのではありません。IHに電気を流すことで鍋の持つ電気抵抗で熱を出すという仕組みになっているのです。つまり、外部から熱を加えないので、熱効率が良いというのがIHの大きな特徴なのです。
1.2 ガスコンロとIHをコストで比較すると?
ガスコンロとIHクッキングヒーターを比較検討する場合、多くの人が重視するのがコスト。初期費用や光熱費など、どちらの調理機器を使うとコストパフォーマンスが良いのかを気にする人が多いはずです。
一般的にガス機器は、導入に必要な初期費用が安くて光熱費が高いとされています。電気機器はその反対。つまり、初期費用を安くしたい場合はガス機器、光熱費を安くしたい場合は電気機器を選ぶと良いという考え方が一般的になっているのです。
では、ガスコンロとIHクッキングヒーターの場合はどうなのか?ガスコンロとIHの種別ごとの初期費用を比較してみましょう。
ガスコンロとIHクッキングヒーターの初期費用 | ||||
---|---|---|---|---|
調理機器 (2口の場合) |
据え置き (グリルつき) |
ビルトイン (グリルつき) |
据え置き (グリルなし) |
ビルトイン (グリルなし) |
ガスコンロ | 約35,000円 | 約75,000円 | 約33,000円 | 約73,000円 |
IH | 約168,000円 | 約203,000円 | ― | 約158,000円 |
ガスコンロとIHの価格差は明白。圧倒的にガスコンロのほうが初期費用は安くなるのです。また、IHのグリルなしの据え置きタイプはほとんどないと言えます。IHの場合はグリルがあるものと考えておくほうが良いでしょう。
そのほか、IHは3口タイプも人気がありますが、口数が増えると価格は上昇するので要注意。料理をするときに2口で十分なのであれば、口数を押さえておくと初期費用を抑えることができますよ。
ガスコンロとIHの光熱費の比較は、モデルケースによる比較が基本。なぜならば、調理頻度によっても光熱費は変わりますし、家族の人数でも異なります。また、IHは深夜電力が利用できる時間帯に調理すれば、光熱費は大幅に抑えられるのです。要するに使い方次第なので、モデルケースによる光熱費の比較を考えてみましょう。
調理機器 | 4人家族の一ヶ月の光熱費 (モデルケースの場合) |
---|---|
ガスコンロ(都市ガス) | 約2,100円 |
ガスコンロ(LPガス/プロパンガス) | 約3,500円 |
IHクッキングヒーター | 約1,400円 |
ガスコンロの場合、使用するのが都市ガスとLPガス(プロパンガス)で光熱費が変わります。一般的には光熱費は都市ガスのほうが安く、燃焼力はLPガスのほうが強いのです。店舗などではLPガスが推奨されることもあるため、一概に光熱費だけで比較しないようにしてください。
また、ガスコンロとIHで比較すると、IHのほうが光熱費は安いのです。ただし、ガス料金も電気料金も、契約プランによって光熱費を安くすることが可能。例えば、ガスコンロを使っている場合、暖房設備を床暖房などにするとガス料金が割引になるプランがあります。家庭で給湯器やガスコンロなど、多くのガス機器を使っている場合には数%の割引が受けられることがあるため、家庭の状況を確認することも大切です。
一方で、電気料金についてもオール電化などのプランを利用すれば、深夜から早朝にかけて電気料金を大幅に割引してもらえます。生活が不規則な人や深夜にIHクッキングヒーターで料理をすることがあるという人は、このようなプランを利用すれば、IHの光熱費はさらに安くなることもあるのです。
2 ガスコンロのメリットとデメリット
ガスコンロは炎が見えるため、調理の火加減やタイミングが分かりやすいというメリットがあるとされています。しかし、実はそれ以外にもガスコンロはたくさんのメリットがあるのです。
2.1 ガスコンロのメリット
ガスコンロには、次のようなメリットがあります。
- 鍋を選ばない
- 火加減が目で見て分かる
- 安全機能が充実している
- グリルの予熱が短時間で良い
- キッチンに水蒸気・油煙が広がりにくい
ガスコンロの大きなメリットの一つが、好きな調理器具を使えることです。好きなメーカーの鍋や見た目が気に入っている土鍋など、ガスコンロではどんな物でも自由に使用可能。素材などが対応している鍋に限定されないため、楽しく料理できるというメリットがあります。
また、ガスコンロは炎が出るため、安全面に大きく配慮された作りになっています。確かに炎が出なければ安全なのかも知れません。しかし、火を使っても安心安全に使えるように工夫されているので、ガスコンロはIHよりも安全面が劣っているという訳ではないのです。
ガスコンロの安全機能(Siセンサー) | |
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立ち消え安全装置 |
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焦げ付き消火機能 |
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調理油過熱防止装置 |
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消し忘れ防止装置 |
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そのほか、鍋なし検知機能、感震自動消火機能、点火ロック機能など、複数の安心安全機能がガスコンロに備わっている |
そのほか、近年は時短レシピでグリルを使う人も増えていますが、時短レシピのグリルは「予熱」と「余熱」を上手に活用することが成功のポイント。この予熱が短時間で済むというのもガスコンロのメリットの一つです。せっかくの時短レシピですから、予熱は短時間のほうが良いのは言うまでもありませんよね。
最後に、料理好きの人にとって、料理後の室内の汚れは気になるポイントの一つですよね。特に揚げ物をしたあとに室内が油まみれというのでは困ります。実は、ガスコンロは揚げ物などをしたときの油煙が室内に広がりにくいというメリットがあるのです。キッチンの掃除が手軽になるメリットなので、キッチンの掃除が大変と思っている人はガスコンロに変えてみるのも良いかも知れませんよ。
2.2 ガスコンロのデメリット
ガスコンロには、次のようなデメリットがあります。
- 熱効率が良くない
- キッチンが暑くなる
- 換気扇の掃除が大変
- 火を使うという危険性がある
ガスコンロのデメリットと言えば、キッチンが暑くなるというのが有名。特に夏場は冷房がなければ、料理が大変になるというのはよく知られています。実際、ガスコンロは五徳などのすき間から熱が周囲に逃げているため、熱効率が良くないですし、その逃げた熱はキッチンの温度を上昇させてしまうのです。
また、周囲に逃げる熱は上昇気流を起こすため、ガスコンロの場合は水蒸気や油煙はキッチンに広がりにくくなります。反面、上昇気流で上に運ばれた水蒸気や油煙は換気扇に吸い込まれることになり、換気扇に油汚れなどがつきやすいというデメリットも生じてしまうのです。換気扇の掃除は大変なので、換気扇の掃除が苦手という人にはガスコンロはおすすめできません。
そのほか、焦げ付きを防止する機能や消し忘れ防止の機能など、ガスコンロには安全機能が充実しています。しかし、火を使うため、注意していても事故が起きてしまうおそれはあるのです。調理中に子どもが手を出してしまうと、子どもがやけどを負ってしまうおそれもありますし、洋服に火が燃え移るというリスクなどがあることも忘れないようにしてください。
3 IHクッキングヒーターのメリットとデメリット
IHは火が出ないため、高層マンションなどでは安全性の高さから採用されることが多くなっています。IHはボタン一つで火力の調節や簡単調理が行えるため、料理が苦手な人でも調理しやすいとされているのです。
3.1 IHクッキングヒーターのメリット
IHクッキングヒーターには、次のようなメリットがあります。
- 熱効率が良い
- 火力の調節が簡単
- キッチンが暑くならない
- 掃除がしやすい
- 換気扇が汚れにくい
- 安全性に優れている
IHはボタン操作ができるため、火力の調節は簡単。IHの種類によっては、様々な調理モードを備えていることもあり、簡単に調理できるようになります。また、IHの表面はフラットでお手入れが簡単というメリットもあるのです。換気扇が汚れにくいことと併せて、IHは掃除が楽になるというのが最大のメリットとされています。
さらにIHクッキングヒーターは電気抵抗の熱で調理するため、火を使わないで調理を行います。炎が出ないため、子どもが近づいてもやけどをするということはないですし、調理中に洋服に火が燃え移るというリスクもないのです。
そのほか、火を使わないため、ガスコンロよりも安全性に優れていることはすぐに理解できるはずです。実は温度調節もボタン一つで行えるため、火災になるリスクはかなり低いと言えます。つまり、ガスコンロと比較すると、様々な面で安全性に優れているのがIH。安全面を考慮したい人には、IHがおすすめなのです。
3.2 IHクッキングヒーターのデメリット
IHクッキングヒーターには、次のようなデメリットがあります。
- IH対応の鍋しか使えない
- グリルの予熱に時間がかかる
- トッププレートが汚れやすい
- キッチンに水蒸気や油煙が広がりやすい
IHの最大のデメリットと言えば、IHに対応した調理器具しか使えないということです。例えば、お気に入りのメーカーが販売している鍋が良いと思っても、それがIH対応でなければ使えません。近年は様々な調理器具が使えるオールメタル対応のIHなどもありますが、価格はかなり高価。少し我慢してIHに対応した鍋などを使うほうが良いという人も少なくないのです。
また、IHのグリルは予熱に時間がかかります。時短レシピでグリルを使う場合には、この点が大きなデメリットになることもあるのです。もちろん、調理メニューなどがあるため、ガスコンロよりも使いやすいという点もありますが、時短レシピなどでグリルを使う場合には不便を感じることがあるということも覚えておきましょう。
そのほか、IHのトッププレートは汚れたり焦げたりしやすいので要注意。特にちょっとしたことで焦げることもあり、IHのトッププレートは使う度に掃除をするほうが良いと言えるのです。反面、こまめに掃除をしたほうが良いということを除けば、細かな凹凸があるガスコンロよりも簡単に掃除できるというメリットもありますよ。
最後に、ガスコンロのように上昇気流が起こらないことで、油煙が換気扇に吸い込まれにくいというデメリットもあります。油煙が換気扇に吸い込まれにくいことは、換気扇の掃除が楽になる一方で、キッチンの床などが油っぽくなるというデメリットにつながっているのです。ただし、キッチンの床などは換気扇よりも掃除しやすいので、そのほうが良いと考えることもできますよね。
4 まとめ
ガスコンロとIHクッキングヒーターを比較してきました。ガスコンロは初期費用が安くて光熱費が高いという特徴があり、IHクッキングヒーターはその反対の特徴を持っているのです。また、ガスコンロとIHにはそれぞれに正反対と言えるくらいのメリットとデメリットがあるため、どちらのメリットが自分にとって良いのかを考えて、ガスコンロとIHクッキングヒーターを選ぶようにすると後悔しなくて済みますよ。