ガスオーブンのビルトインと卓上のメリット・デメリットは?
2021年4月19日 更新オーブンレンジは電気とガスがありますが、ガスオーブンを選ぶ人は少なくありません。特にガスオーブンのほうが光熱費を節約しやすいなどのメリットがあるため、節約志向の人からも大きく支持されているのです。
そこで、ビルトインタイプと卓上タイプのガスオーブンについて解説していきます。それぞれのタイプのガスオーブンにあるメリットやデメリットなども解説するので、ガスオーブンを選ぶときの参考にしてください。
目次
1 ガスオーブンは電気よりも人気がある?
まずはガスオーブンを選ぶメリットとデメリットを理解しておきましょう。
1.1 ガスオーブンのメリット
ガスオーブンの主なメリットは5つ。電気オーブンよりもガスオーブンのほうが良いとされているメリットは、次のようになっています。
- 予熱時間が短くて良い
- 火力が強い
- 庫内の温度にムラがない
- 光熱費が安い
- 庫内が広い
ガスオーブンを電気オーブンと比較した場合、このようなメリットがあります。このガスオーブンのメリットの中でも、特に注目されているのは予熱時間と火力。この2点は料理をする際にはとても重要になるポイントです。
例えば、ガスオーブンの火力は、電気オーブンの約2倍。この強い火力があるので、ガスオーブンはパンなどの表面をパリッと焼き上げることができるのです。
また、ガスオーブンは予熱も短時間でOK!大阪ガスがビルトインガスオーブン(114-F423型)と家電メーカーの200V電気オーブンを使って実験した結果、230度に達するまでの時間はガスオーブンが「約4分」で電気オーブンは「約7分」でした。つまり、庫内温度の上昇が早いということは、それだけ予熱も短時間で良いと言えます。調理もスムーズになりますし、手早い食事の準備も可能になるのです。
さらに庫内の温度上昇が早いため、ガスオーブンの庫内は温度を一定に保ちやすいのです。調理中の食材も均一に火が通りますし、火の通りが悪いところから旨味が逃げるという調理ミスも起こりにくいと言えます。
そのほか、庫内の温度上昇が早いうえに火力も強いため、手早く調理を済ませることができて光熱費を節約することも可能。そのため、ガスオーブンは一般的に電気オーブンよりも光熱費が安いとされています。先程も取り上げた大阪ガスの実験によれば、アップルパイを焼いた場合のコストは大阪ガスの実測値でガスオーブンが17.6円。一方で、電気オーブンは31.8円なので、光熱費は随分とガスオーブンのほうがお得ですよね。
そして、ガスオーブンの広い庫内を有効活用すれば、2種類の料理を同時に調理することもできますし、高さが必要な食パンなども焼けます。調理の幅を広げながら、光熱費を抑えることができて一石二鳥なのです。
1.2 ガスオーブンのデメリット
言うまでもないことですが、ガスオーブンにもデメリットはあります。ガスオーブンを電気オーブンと比較したときのデメリットには、次のようなものがあります。
- ビルトインガスオーブンが主流になっている
- サイズが大きくなってしまう
- 卓上ガスオーブンは設置場所が限定されることがある
ガスオーブンの最大のデメリットはビルトインタイプが主流ということ。光熱費を抑えることができるガスオーブンですが、電気オーブンのように卓上タイプが多く販売されている訳ではありません。多くがビルトインガスオーブンなので、設置の際には工事費用がかかってしまうというデメリットがあるのです。
また、ビルトインということもあり、比較的サイズが大きめ。電気オーブンと比較すると、全体的にガスオーブンのほうが大きくなるというデメリットがあります。もちろん、ビルトインですからサイズを気にする必要はほとんどないのですが、システムキッチンに設置できるかどうかなどを確認する必要はあります。収納スペースも減ってしまうため、ガスオーブンを設置するときには悩む人も少なくないのです。
一方で、卓上ガスオーブンにする場合は選択肢が一気に減少。リンナイが卓上ガスオーブン(電子コンベック)を販売していますが、それ以外の目ぼしい卓上ガスオーブンはわずかです。リンナイの卓上ガスオーブンは確かに性能が良いですが、選択肢が少ないのはデメリットと言わざるを得ません。
卓上ガスオーブンにしてもさらに設置場所が限定されるというデメリットがあります。卓上ガスオーブンは電気オーブンのように電源があれば良いという訳ではないのです。ガスの元栓からの距離も考えなければなりませんし、卓上ガスオーブンを設置した場所の上と横には十分なスペースも必要。
例えば、リンナイの卓上ガスオーブンの場合は、壁からの距離は4.5cm以上ですが、上のスペースは「50cm以上」が必要。防熱版を使っても30cm以上は必要となるため、卓上ガスオーブンの設置場所はかなり限定的になると言えるのです。
2 ビルトインガスオーブンのメリットとデメリット
ビルトインガスオーブンと卓上ガスオーブンを比較すると、ビルトインガスオーブンにはメリットもデメリットもあることが分かります。そこで、ビルトインガスオーブンのメリットとデメリットから解説。
2.1 ビルトインガスオーブンのメリット
ガスオーブンでビルトインタイプを選ぶメリットには、次のようなものがあります。
- キッチンが広く使える
- 見た目がキレイになる
- 庫内の広いオーブンレンジが使える
- 種類やデザイン、サイズなどが選べる
ガスオーブンの中でもビルトインタイプを選ぶ最大のメリットは、キッチンが広く使えることです。もちろん、ビルトインガスオーブンですから、システムキッチンにオーブンレンジが組み込まれています。そのため、作業スペースが広くなり、広々と使えるキッチンになるのです。
さらに見た目もキレイ。視界を遮るようにガスオーブンを置く必要がないため、スッキリとしたキッチンを実現できますよ。
また、ビルトインガスオーブンは庫内が広いというメリットもあります。パンを焼いたり、香草焼きやローストビーフを作ったりできるので、今まで以上に料理のレパートリーを増やせるのです。オーブン調理になじみがない人こそ、ガスオーブンを選ぶほうが良いと言えます。
そして、ガスオーブンの主流はやはりビルトインタイプ。卓上タイプのガスオーブンよりも種類が豊富で、デザインやサイズなどを選びやすいのもビルトインタイプです。
例えば、ビルトインガスオーブンであれば、カラーバリエーションも複数用意されているのが当たり前ですし、庫内容量も複数から選べます。高速オーブン(コンベック)、コンビネーションレンジなど、ニーズに合わせた種類が選べるのもビルトインガスオーブンの大きな特徴。そのほか、グレードが選べる点でもビルトインガスオーブンは細かいニーズに合わせやすいと言えますよ。
2.2 ビルトインガスオーブンのデメリット
ビルトインタイプはガスオーブンの主流ですが、デメリットもあるので要注意。ビルトインガスオーブンのデメリットには、次のようなものがあります。
- 設置費用、工事費用が高い
- コンロの買い替えが必要になることがある
- 収納スペースが減る
- ビルトインガスオーブンの位置が低くなる
ビルトインガスオーブンの最大のデメリットが、高い工事費用。ビルトインですから、キッチンに組み込むための工事が必要となります。そのため、本体価格に加えて、ビルトインガスオーブンを設置する工事費用もかかるのです。
しかも、ビルトインガスオーブンとガスコンロが上手に組み合わせられる必要もあります。カラーなどを合わせるために、ビルトインガスオーブンの購入の際にガスコンロを買い替えるという人も少なくないのです。
また、ビルトインガスオーブンをキッチンに組み込むため、本来であれば収納スペースがある場所にガスオーブンを設置。つまり、収納スペースが必然的に減ってしまうのです。別の場所に収納スペースを確保できる場合は良いですが、収納スペースが不便な場所になったり、収納を確保できなかったりすることもありますよ。
そして、意外と忘れがちなのが、ガスオーブンの位置。ガスコンロの下にビルトインガスオーブンということが多く、意外と低い位置にビルトインタイプのオーブンがあるという家庭も多いと言えます。子どもがいる家庭では、子どもの目線の高さにビルトインガスオーブンということもあって注意が必要。さらにビルトインガスオーブンの位置が低いことで使いにくさを感じる人がいることも忘れないようにしましょう。
3 卓上ガスオーブンのメリットとデメリット
次に卓上ガスオーブンのメリットとデメリットを解説。ビルトインタイプのガスオーブンと比較すると、卓上ガスオーブンのメリットとデメリットも見えてきます。
3.1 卓上ガスオーブンのメリット
卓上ガスオーブンを選ぶメリットには、次のようなものがあります。
- システムキッチンのグレードが関係ない
- 使いやすい場所に設置できる(自由に置けるとは限らない)
- 収納スペースを奪わない
卓上ガスオーブンの最大のメリットは使いやすさ。ビルトインガスオーブンと違って、卓上ガスオーブンは電子レンジのように自分が使いやすい高さに設置できます。ビルトインタイプのように低い位置に設置することにならないため、オーブンを頻繁に使いたい人にもおすすめです。
また、卓上ガスオーブンはシステムキッチン(ガスコンロ)のグレードが無関係。ビルトインガスオーブンの場合、システムキッチンのグレードによって設置ができなかったり、ガスコンロを変えなければならなかったりするのです。しかし、卓上ガスオーブンであれば、システムキッチンの上に置くことができるため、スペースがあればOK!しかも、収納スペースを奪わないため、調理器具を収納スペースに入れておき、空いている場所に卓上ガスオーブンを置くという人も少なくありません。
3.2 卓上ガスオーブンのデメリット
卓上ガスオーブンのデメリットには、次のようなものがあります。
- 種類が少ない
- 狭いキッチンには置きにくい
- 作業スペースがなくなる
- キッチンの見た目が悪くなる
卓上ガスオーブンの最大のデメリットは種類が少ないことです。ノーリツやリンナイなど、卓上ガスオーブンを販売しているメーカーは複数あります。しかし、ラインナップは限定的。カラーバリエーションなどはほとんどなく、庫内容量が大きめと小さめしかないということもあるのです。選べないというのは大きなデメリットかも知れません。
また、卓上ガスオーブンは設置条件があるため、必ずしも使いやすい場所に設置できるとは限りません。ガス栓、電源、卓上ガスオーブンの周囲のスペースなど、すべての条件がかみ合う場所は、意外と限定的となってしまうのです。
さらにキッチンにドンと大きな卓上ガスオーブンを置くことで見た目が悪くなりがちですし、調理用の作業スペースも狭くなりがち。余程広いキッチンでもなければ、卓上ガスオーブンの圧迫感を覚えてしまうでしょう。もちろん、卓上ガスオーブンを置く場合は、それ以外の物をあまり置かないようにするなどの工夫をすれば問題ありませんよ。
それでもマンションのように限られた空間にキッチンを作っている場合は、卓上ガスオーブンはおすすめできません。広さに限りがあるからこそ、ビルトインガスオーブンにするのが賢い選択。臨機応変に対応していきましょう。
4 ビルトインタイプと卓上タイプのどちらがおすすめ?
ガスオーブンを選ぶ場合、基本的にはビルトインタイプがおすすめ。マンションのようにキッチンの広さに限りがあっても設置可能ですし、調理用のスペースも十分に確保できます。やはりビルトインガスオーブンを選ぶほうが見た目もスッキリして、料理しやすいキッチンを作れるのです。
ただし、システムキッチンが決められているマンションなどの場合、システムキッチンをグレードアップするくらいであれば、卓上ガスオーブンにしたほうが良いというケースもあります。ケースバイケースですが、ビルトインガスオーブンの工事費用と卓上ガスオーブンを設置した場合の費用を比較して決めることも重要。そのため、業者と相談して、両方の見積もりを出してもらって決めるという方法が最適です。
また、特別な理由がなければ、ビルトインガスオーブンを選ぶのが良いでしょう。後付けという理由だけで卓上ガスオーブンを選んでしまうと、設置条件を満たせる場所が限定的だったり、設置したい場所にガス栓がなかったりして、結局は卓上ガスオーブンのほうが高い費用がかかるというケースもあります。十分に注意しておきましょう。
5 まとめ
ガスオーブンのビルトインタイプと卓上タイプのメリットとデメリットについて、詳しく解説してきました。ガスオーブンを選ぶ場合、基本的にはビルトインガスオーブンを選ぶほうがお得。工事費用はかかりますが、卓上ガスオーブンでも設置工事費用が高くなるケースがあるので、ビルトインタイプと卓上タイプの両方の見積もりを取ってから決めるようにしてくださいね。