壁付、アイランド、ペニンシュラとは?システムキッチンの間取り・レイアウトを比較
2020年10月6日 更新システムキッチンのリフォームを考える時に、キッチンレイアウトの種類が多くありすぎてどれを選べばいいのか迷ってしまう方も多いですよね。使いやすいキッチンにしたい、料理に集中したい、家族とのコミュニケーションを重視したいなどの希望を叶えることも大切ですが、間取りによってはメリットもデメリットもあります。動きやすく使いやすいキッチンを選ぶために、システムキッチンの間取りやレイアウトについて、比較をしながら選ぶ方法を解説します。
目次
1 キッチンの動線を考える
システムキッチンの間取りやレイアウトを考える時には、まずキッチンでの動線を考えましょう。キッチン内での動きを考えることで、無駄のない調理作業をすることができます。
1.1 ワークトライアングルがキッチンレイアウトの基本
キッチンのレイアウトで重要なポイントは、家事動線の効率化です。そのために「ワークトライアングル」を考えることが大切になります。ワークトライアングルとは、コンロ・シンク・冷蔵庫の三角形の動線のことです。この動線が長くなりすぎると動きに無駄が出てしまいますし、逆に短すぎると調理や収納スペースの確保が難しくなる可能性があります。
1.2 ワークトライアングルの距離
ワークトライアングルを結ぶコンロ・シンク・冷蔵庫は調理作業をする上で頻繁に使用しますので、この動線をまず考えていきましょう。理想的な動線としては、2~3歩で移動できる距離が目安です。
コンロとシンクの距離 | 120cm~180cm |
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シンクと冷蔵庫の距離 | 120cm~210cm |
冷蔵庫とコンロの距離 | 120cm~270cm |
この動線を考えるとともに、パントリーや食器棚、そして忘れがちなゴミ箱の位置も考えていきましょう。調理中にどのような動きをするかを想像することがポイントになります。動線を考えて配置をすることで、作業の効率化につながり疲れにくいキッチンになるでしょう。
1.3 必要なキッチンの通路幅
キッチンの動線が決まったら、今度はキッチン内の通路幅を考えましょう。通路幅が狭いとキッチン内での動きがしづらくなり、さまざまな不便を生じます。逆に広すぎると無駄な動きが大きくなってしまいます。基本的には、振り返った時に背面の収納に手が届くのが理想です。ただし、2人以上で調理をする場合には、すれ違えない通路幅だとストレスを感じてしまうでしょう。
このようなことを考えると、目安としては90cm~120cmです。また、冷蔵庫を設置したところは扉を開いた時の取り出しやすさを考えるとともに、一般的には冷蔵庫前のスペースは狭くなることも考えて通路幅を決めるのが良いでしょう。
2 キッチンの間取りを考える
キッチンの間取りには、大きく以下の3種類があります。
- 独立型キッチン
- 壁付キッチン
- 対面キッチン
ではそれぞれの特徴とメリット・デメリットを見ていきましょう。
2.1 料理に集中できる独立型キッチン
独立型キッチンは、ダイニングやリビングなどから独立したキッチンのことです。独立型キッチンのメリット・デメリットには次のようなことがあります。
<独立型キッチンのメリット>
- 調理に集中できる
- 油や匂いが広がらない
- 収納スペースが作りやすい
<独立型キッチンのデメリット>
- 他の部屋の様子がわからない
- 閉塞感がある
来客時に調理スペースをみられることなく集中できることや、調理中の油や煙が広がりにくいこと、収納スペースを作りやすい、作業効率が良いというメリットがあります。しかし、壁に囲まれているため他の部屋の様子がわからないことから、小さな子供がいる場合は不便さを感じますし、閉塞感を感じるなどのデメリットもあります。
2.2 限られたスペース向きの壁付キッチン
壁付キッチンは、キッチンの全面が壁に接しているキッチンのことです。壁付キッチンのメリット・デメリットには次のようなことがあります。
<壁付キッチンのメリット>
- キッチンのスペースが活かせる
- 調理に集中ができる
- ダイニングのスペースを確保できる
- 配膳がしやすい
<壁付キッチンのデメリット>
- 動線が悪くなる
- コミュニケーションがとりづらい
- キッチンが丸見えになる
壁付キッチンは、キッチンの前が壁のため空間を無駄にすることなく、スペースが限られている場合でもキッチンのスペースやダイニングのスペースも確保することができます。また、壁に向いているため作業にも集中しやすく、ダイニングテーブルが後ろにあるため、配膳がしやすいといったメリットがあります。
しかし、コンロ・シンク・冷蔵庫が横並びになるため、ワークトライアングルが三角形にならず動線が悪くなる可能性があります。また、壁に向いて調理するためコミュニケーションがとりづらいですし、キッチンのすぐ後ろがダイニングやリビングの場合には、キッチン内が丸見えになってしまうといったデメリットがあります。
2.3 コミュニケーション重視の対面キッチン
対面キッチンはオープンキッチンとも言い、キッチンの前を壁で遮らずダイニングやリビングと対面になっているキッチンで、今人気のアイランドキッチンやペニンシュラキッチンもそのひとつです。対面キッチンのメリット・デメリットには次のようなことがあります。
<対面キッチンのメリット>
- 開放感がある
- コミュニケーションがとりやすい
- 配膳がしやすい
<対面キッチンのデメリット>
- 手元が丸見えになる
- 水はねや油はねが気になる
- 匂いが部屋に広がる
- スペースが狭くなる
対面キッチンは、前面に壁がないため開放感があり、ダイニングやリビングがよく見えるので家族とのコミュニケーションもとりやすく、小さな子供がいる場合も様子を確認できます。また、前面にダイニングがあるため配膳がしやすいといったメリットがあります。
しかし、調理中の手元が丸見えになることや、壁がないため水回りからの水はねやコンロからの油跳ねが気になりますし、炒め物や揚げ物などの匂いが部屋に広がってしまう場合があります。さらに、通路幅を確保するためのスペースが必要となるためキッチンのスペースを確保しなければならず、ダイニングやリビングのスペースが狭くなるといったデメリットがあります。
3 キッチンのレイアウトを考える
キッチンの間取りを考えた後は、キッチンのレイアウトと動線を考えていきましょう。キッチンの主なレイアウトには、次のようなスタイルがあります。
- I型スタイル
- L型スタイル
- U型スタイル
- Ⅱ型スタイル
- ペニンシュラスタイル
- アイランドスタイル
3.1 I型スタイル
I型スタイルのキッチンは、狭い住宅でも取り入れやすい主流のスタイルになります。壁付キッチンでも対面キッチンでも設置が可能ですが、限られるスペースを最大限に活かしたい場合には、壁付キッチンが良いでしょう。
I型スタイルでのレイアウトを考える場合には、コンロ周りの火を使う場所に気を付けましょう。コンロとシンクがあまり離れていると、熱い鍋などを運ぶときの距離が長くなり危険が増します。シンクとコンロの距離を考えて設置するようにしましょう。
I型スタイルの場合には、コンロ・シンク・冷蔵庫が横並びになってしまい、ワークトライアングルが作れず無駄な動きが多くなり、作業効率が悪くなる可能性がありますが、シンクをコンロと冷蔵庫の中間に設置することで、使いやすいキッチンになるでしょう。
3.2 L型スタイル
L型スタイルのキッチンは、シンクとコンロがL型に離れているため、自然とワークトライアングルができやすく使いやすいスタイルとなります。また、L字のどちらも壁付にすることもできますし、シンク側をダイニング・リビングに向けて対面式にすることもできます。しかし、L型スタイルのキッチンはI型スタイルよりもスペースを使うため、広さが確保をする必要があります。
食器棚やパントリー、ゴミ箱の位置もきちんと考えて取り入れるのが良いでしょう。冷蔵庫やパントリーの位置は、シンクのそばにすることで動線の効率がよくなります。
3.3 U型スタイル
U型スタイルのキッチンは、コの字の形状となっているキッチンです。独立したスペースとなり収納も確保することができるため、料理に集中したい人などにとってメリットの大きいスタイルとなります。また、ワークトライアングルもとれるため、動線の良さがおすすめです。
ただし、キッチンスペースは大きく必要となり、狭いスペースに設置してしまうと圧迫感が出てしまう可能性があります。また、コの字型のため2つの角が使いづらいこともあります。上手に活用できるように収納を考える必要があるでしょう。
3.4 Ⅱ型(セパレート型)スタイル
Ⅱ型のセパレートスタイルは、シンクとコンロが並行しているスタイルのキッチンとなります。収納スペースや作業スペースを大きく取れることや、作業動線が短くなるためワークトライアングルが確保できますのでメリットも大きくなります。また、シンク側をダイニングやリビング側にして対面式にすることもできるため、開放感のあるキッチンにすることもできます。
ただし、U型と同様にスペースが大きく必要になりますし、コンロがシンクと反対側になるため、調理作業は後ろを振り返らなければならなくなります。さらに、食材を運ぶ際に濡れていると水滴が床に垂れてしまうことがあるといったデメリットもあります。
3.5 アイランドスタイル
アイランドスタイルのキッチンは島という意味で、シンクや作業のスペースが壁から離れており、キッチンの両側から出入りが可能なスタイルとなります。ダイニングやリビングに島のようにキッチンがあるため、家族や来客との会話を楽しみながら調理をすることができる、今人気のおしゃれなキッチンスタイルです。
開放感があり複数人で料理をする時も立ち位置や動線を確保しやすいのがメリットになります。また、見せるキッチンを演出できますし、空間の設計の自由度も高くなります。
ただし、広いスペースが確保できなければ余裕のある空間を作ることができませんし、キッチンが丸見えになるため、片付けの苦手な人には向かないスタイルです。さらに、コンロもオープンな場所に位置するため揚げ物や炒め物などの匂いが部屋中に広がりやすいという点もデメリットとなります。
設置を検討する場合には、収納スペースの確保や油はねなどの対策をしっかりとすることも大切になります。
3.6 ペニンシュラスタイル
ペニンシュラスタイルは、おしゃれな雰囲気のキッチンで人気も高まっているタイプのキッチンスタイルです。ペニンシュラとは半島という意味で、アイランドスタイルとの違いは、キッチンの片側が壁に付いてことで、キッチン部分が半島のように見える形をしています。
アイランドスタイルと同様、空間の開放感がありダイニングやリビングとの一体感がありますし、間取りの自由度も高くなります。キッチン前部にカウンターを設置することで、テーブルカウンターとしても使えます。
ただし、やはりキッチンが丸見えになるため、片付けができる人には向いていますが苦手な人には苦痛になる可能性があります。油はねや水はね、匂い対策、収納スペースの確保も肝心となります。
4 キッチンスタイルを選ぶ際のポイント
選ぶ際には次のことをポイントに選択をしてみて下さい。
- キッチンスペースはどのくらい確保できるか
- 間取りとレイアウトは生活スタイルに合っているか
- 効率的な動線が可能か
- 冷蔵庫・収納・ゴミ箱の設置位置は確保できるか
- 見せるキッチンなのか隠すキッチンなのか
キッチンは調理や生活スタイルに合わせて間取りやレイアウトを考えると、家族にぴったりの空間つくりやキッチンを選ぶことができるでしょう。
5 まとめ
キッチンの間取りやレイアウトを考えるときは、希望するスタイルを導入した際の動線を考えることが大切です。動線を考えることで、効率の良い調理作業が可能となりますし、ストレスも溜まることがありません。
壁付で調理に集中したいのか、家族とのコミュニケーションを大事にしたいのかでも間取りは変わってきます。その際には、キッチンスペースがどのくらい確保できるのか、ダイニングやリビングを圧迫しないかなど併せて検討するのが良いでしょう。
また、今人気のアイランドキッチンやペニンシュラキッチンを選ぶ際は、片付けや掃除のしやすさなども考えることが大切です。