エアコンの埋め込み式と壁掛け式を比較!家庭用の場合のデメリット
2019年1月31日 更新家庭用のエアコンを設置するとき、普通のエアコンとオフィスなどにある天井に埋め込めるエアコンで迷う人もいますよね。確かに天井に埋め込むタイプのエアコンは、室内がすっきりしてデザイン性を高められると言えるでしょう。
そこで、天井埋め込み式と壁掛け式のエアコンを比較します。もしも家庭用に天井埋め込み式のエアコンを設置したいと考えているのであれば、メリットやデメリットを十分に理解してから設置を決めてくださいね。
目次
1 天井埋め込み式のエアコンとは?
天井埋め込み式のエアコンは一般的な壁掛け式のエアコンと比較すると、家庭用に設置する人が少ないのは確かです。それでも、室内のインテリアやデザイン性を考慮して、天井埋め込み式のエアコンを選ぶ人もいますよ。
1.1 天井埋め込み式のエアコンとは?
家庭用の天井埋め込み式のエアコンは、例えばダイキンが「天井埋込カセット形」という名称で、パナソニックが「天井ビルトインエアコン」という名称を使用。このようにメーカーごとに呼び方も異なるため、少し注意が必要です。
また、天井埋め込み式のエアコンの特徴の一つが見えない配管。壁や天井に配管が埋め込まれていて、壁掛け式エアコンのように目立つということもありません。まるで天井の一部になったかのように設置されていて、そこに天井埋め込み式のエアコンがあるということに気づかれないこともあるのです。
一方で、天井埋め込み式のエアコンの配管設置は繊細で、細かく設計しなければならない点も大きな特徴。そのため、リフォームで天井埋め込み式のエアコンを設置するよりも、新築のときに十分に設計して天井埋め込み式のエアコンを設置するほうが良いとされています。
1.2 天井埋め込み式のメリットとデメリット
まずは、天井埋め込み式のエアコンのメリットとデメリットを一覧で紹介。一般的な壁掛け式のエアコンを思い浮かべて比較してみましょう。
メリット | デメリット |
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天井埋め込み式のエアコンの最大のメリットは室内のデザイン性がアップすることです。天井埋め込み式のエアコンにすることで、室内がすっきりして広く見えることなども考えられます。そして、設置場所の自由度も高いため、部屋を好みの空間に仕上げやすいというメリットなどがあるのです。
一方で、設置費用が高額になりやすいのが最大のデメリット。また、壁掛け式のエアコンのような選択肢もなく、限られたメーカーの限られた機種から選ぶことになりやすいのです。ただし、近年は空間デザインを考える人が増えていて、家庭用の天井埋め込み式のエアコンを販売するメーカーが増えています。今後も少しずつ増える傾向になると考えられるため、慌てずにじっくりと選ぶのが良いでしょう。
また、配管が壁や天井に埋設されているため、配管のトラブルなどに気づきにくいというデメリットもあります。なかには室内と天井裏の温度差が原因で、エアコン本体に結露が生じるケースも報告されているのです。この場合、天井から水滴が落ちたり、天井にシミができたりするので、十分な注意が必要と言えます。
さらに、照明器具や配管などの設計を十分にしたうえで設置する必要があります。天井埋め込み式のエアコンと照明器具で場所の取り合いになったというケースなどもあり、リフォームの際は特に注意が必要になるのです。その点、新築の場合は最初から天井埋め込み式のエアコンを設計に組み込めるため、このような問題はほぼないとされています。
最後に、十分に注意しておきたいのがメンテナンス。普通の壁掛け式エアコンでもメンテナンスは必要ですが、自動で掃除をする機能などがあってメンテナンスは楽になっています。それでも、壁掛け式エアコンの内部にホコリなどが溜まることもあって、クリーニングやメンテナンスは欠かせないと言えます。
同じことが天井埋め込み式のエアコンにも言えるのです。最新の天井埋め込み式のエアコンには壁掛け式エアコンのような自動で掃除をする機能などもついていますが、メンテナンスが必要なのは当然。しかも、天井埋め込み式のエアコンのメンテナンスができる業者は限られていて、普通の壁掛け式エアコンの掃除を依頼するというような容易さはないのです。このような点に注意しておきましょう。
2 エアコンの埋め込み式と壁掛け式を比較!
天井埋め込み式のエアコンと壁掛け式エアコンを様々な点で比較していきます。天井埋め込み式のエアコンと壁掛け式エアコンで迷っている人は参考にしてみてください。
2.1 機能や性能を比較
天井埋め込み式のエアコンと壁掛け式エアコンを分かりやすく比較するために、同一メーカーの製品で比較してみます。ここで比較するのは、ダイキン工業のエアコン。家庭用の天井埋め込み式のエアコンでも人気が高く、比較的多数の機種を取り扱っているメーカーです。
まずは、それぞれの機能や性能を一覧で比較。
ダイキンのエアコン | 天井埋め込み式のエアコン (天井埋込カセット形) |
壁掛け式エアコン |
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型番 | S28RCRV | S28WTRXS-W(-C) |
主な適用畳数(冷暖房) | 主に10畳程度 | 主に10畳程度 |
機能・性能 |
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暖房能力 | 4.0kW(0.5~7.6) | 3.6kW(0.6~7.7) |
暖房消費電力 | 1,000W(120~2,370) | 660W(100~2,000) |
冷房能力 | 2.8 kW(0.6~3.3) | 2.8 kW(0.7~4.0) |
冷房消費電力 | 640W(130~790) | 550W(100~1,000) |
省エネ基準達成率 | 109%(目標年度2012年) | 117%(目標年度2010年) |
消費電力量(年間) | 946kWh | 779kWh |
通年エネルギー消費効率 | 5.7 | 6.8 |
最初に注目したいのは「通年エネルギー消費効率(APF)」です。こちらは日本工業規格(JIS)にある「JIS C9612」に基づいて調べた能力。この数値が大きくなれば、それだけ省エネ性能が高いことを表します。要するに、同じ10畳程度に使用するエアコンとしては、一般的な壁掛け式エアコンのほうが省エネ性能は高いということになるのです。
また、消費電力量は期間合計の消費電力で、年間の消費電力を合算した数値。要するに、年間のランニングコストの目安となる数値で、数値が小さいほうがエネルギー効率は良く、ランニングコストが安いと言えるのです。この数値を比較すると、天井埋め込み式のエアコンよりも壁掛け式エアコンのほうが小さくなっています。つまり、壁掛け式エアコンのほうが、およそのランニングコストは安いと判断できます。
そのほか、機能面でも充実しているのは壁掛け式エアコンです。目標年度は違いますが、省エネ基準達成率も高いのは壁掛け式エアコン。天井埋め込み式のエアコンは様々な面で壁掛け式エアコンに劣ってしまっていると言えそうです。
2.2 設置費用で比較
天井埋め込み式のエアコンと壁掛け式エアコンを設置費用で比較。ただし、天井埋め込み式のエアコンは設置する住宅によって費用が異なります。そのため、天井埋め込み式のエアコンの場合は一般的な価格で比較してみます。
家庭用の天井埋め込み式エアコンの場合、リフォームの工事費などに最低でも10万円はかかるとされています。また、ここに天井埋め込み式のエアコンの本体価格が加わりますし、配管の長さやドレン配管の設置場所などによっても工事費用は追加。15~20万円以上かかることも珍しくありません。
一方で、普通の壁掛け式エアコンは6~8万円で設置できることも少なくありません。最新の高い壁掛け式エアコンを買っても、15万円もあれば、かなり良いエアコンが買えますよね。しかも、それが設置工事費込みの価格。比較するまでもなく、壁掛け式エアコンのほうが安く済むと言えますよ。
3 エアコンの埋め込み式と壁掛け式はどちらがおすすめ?
家庭用の場合、天井埋め込み式のエアコンと壁掛け式エアコンのどちらがおすすめなのか?実は、どちらがおすすめとは断言できません。なぜならば、天井埋め込み式のエアコンには壁掛け式エアコンにはないメリットがあるからです。
天井埋め込み式のエアコンの配管が目立たないというメリットは、室内のデザイン性などを重視するときには必須。どんなに性能や機能が多くても、壁掛け式エアコンがあるだけで室内の雰囲気が変わることは否めないのです。それだけに天井埋め込み式のエアコンが良いと感じる場合には、そちらを設置することが良いと言えるのです。
つまり、天井埋め込み式のエアコンは、室内のインテリアやデザイン、室内空間の広さなどを生かしたい場合におすすめ。自分がどうしたいのかを考えて、天井埋め込み式のエアコンと壁掛け式エアコンを選ぶようにしてください。
4 まとめ
天井埋め込み式のエアコンと壁掛け式エアコンを比較してきました。天井埋め込み式のエアコンのメリットとデメリットも紹介しましたが、天井埋め込み式のエアコンのメリットを生かしたい場合は迷わず選ぶようにしてください。決して壁掛け式エアコンにはないメリットが天井埋め込み式のエアコンにはありますよ。