灯油ボイラーとガス給湯器の違いを比較!安いのはどっち?
2020年5月27日 更新給湯器を導入するとき、ガス給湯器や灯油ボイラー(石油給湯器)など、実際にはどれが良いのか、よく分からないですよね。灯油ボイラーとガス給湯器の細かな違いも分かりにくいですし、ランニングコストの比較方法もよく分かりませんよね。
そこで、灯油ボイラーとガス給湯器の違いを比較しながら、どちらが安くなるのかを解説します。灯油ボイラーとガス給湯器の導入費用やランニングコストも比較して解説するので、あなたに合う給湯器を見つけてくださいね。
目次
1 灯油ボイラー(石油給湯器)とは?
灯油ボイラーは石油給湯器とも呼ばれています。灯油でお湯を沸かすことは分かりますが、灯油ボイラーのメリットなどまで知っている人は少ないですよね。
1.1 灯油ボイラーの仕組み
灯油ボイラーは、灯油を燃料としてお湯を沸かしてくれる給湯システム。また、灯油ボイラーには「直圧式」と「貯湯式(減圧式)」があって、灯油ボイラーの構造で呼び方が異なります。
灯油ボイラー | 特徴 |
---|---|
直圧式 |
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貯湯式(減圧式) |
|
直圧式の灯油ボイラーは、水道の水圧をそのまま利用しています。水道の配管を灯油ボイラーにつなげて、その水を灯油のバーナーで加熱するというイメージ。水道の水圧のままで、現在の主流になっている灯油ボイラーの構造です。
一方で、貯湯式の灯油ボイラーはタンクに水を入れて、その水を灯油のバーナーで加熱してお湯を沸かすというイメージ。ミネラルが多く含まれる地下水なども使うことができて、井戸水が多く使われていた時代に主流だった灯油ボイラーの構造と言えます。
1.2 灯油ボイラーのメリットとデメリット
灯油ボイラーは直圧式と貯湯式がありますが、どちらにも共通したメリットとデメリットがあります。ガス給湯器と灯油ボイラーを比較する場合、その灯油ボイラーに共通するメリットとデメリットで比較するほうが良いでしょう。
メリット |
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デメリット |
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灯油ボイラーの最大のメリットはランニングコストが安いという点。冬場の光熱費がかさみやすい寒冷地では、灯油ボイラーのランニングコストが安いということで広く導入されているくらいです。しかも、灯油ボイラーは頑丈で、長寿命という点でも寒冷地では歓迎されると言えます。
一方で、灯油ボイラーには燃料切れのおそれがあるというところがポイント。灯油ボイラーの燃料は灯油なので、灯油を使い切ってしまえば、使えなくなります。灯油を補充してもエア抜きなどが必要なため、灯油ボイラーの最も厄介な面と言えるでしょう。
2 ガス給湯器とは?
ガス給湯器はガスを燃料としてお湯を沸かしています。灯油ボイラーとの違いはガスを使うという点。ガス給湯器の全体的な構造などは灯油ボイラーと似通っているのです。
2.1 ガス給湯器の仕組み
ガス給湯器は、ガスを燃料にしています。灯油ボイラーと同じで、ガス給湯器にも「瞬間式」と「貯湯式」の2つがあるのです。
ガス給湯器 | 特徴 |
---|---|
瞬間式 |
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貯湯式 |
|
ガス給湯器も、基本的な構造では灯油ボイラーと違いはないと言えます。しかし、ガス給湯器の場合は瞬間式が給湯能力にも優れていて、広く使われているのです。本体もコンパクトな製品が多く、狭い場所やマンションなどでも使える点で人気があります。
2.2 ガス給湯器のメリットとデメリット
ガス給湯器のメリットは、主に瞬間式のガス給湯器のほうが多いのです。中でも注目したいメリットは、ガス給湯器の本体がコンパクトであるというところ。マンションなどの設置場所が限られている場合でも、瞬間式のガス給湯器であれば設置が可能ということも少なくありません。
また、給湯能力が高い点でも都市部の生活者に好まれているのです。しかも、都市ガスであれば、燃料切れになることもないため、いつでもお湯が使えるという点は大きなメリット。
一方で、ガス給湯器のランニングコストは高めです。灯油ボイラーと比較すると、明らかにガス給湯器のほうが高く、お湯を多く使う家庭ではランニングコストがネックになる場合もあります。
また、電気温水器や灯油ボイラーと比較すると、わずかながらガス給湯器のほうが寿命は短いとされているのです。ただし、ガス給湯器のメンテナンスを十分に行うことで、ほかの給湯器と同程度の寿命を保つことはできます。
3 灯油ボイラーとガス給湯器を比較!
灯油ボイラーとガス給湯器をもう少し詳しく比較していきます。導入費用やランニングコストを比較して、どちらが安くなるのかも解説しますよ。
3.1 ランニングコストで比較すると?
一般的に、ランニングコストは灯油ボイラーのほうが安いとされています。どのくらい安くなるのか、灯油ボイラーとガス給湯器のランニングコストを比較してみます。
電力エリア | 灯油ボイラー(石油給湯器) | ガス給湯器 |
---|---|---|
北海道電力 | 約61,200円 | 約88,800円 |
東北電力 | 約49,200円 | 約85,200円 |
北陸電力 | 約56,400円 | 約100,800円 |
東京電力 | 約52,800円 | 約61,200円 |
中部電力 | 約48,000円 | 約69,600円 |
関西電力 | 約45,600円 | 約64,800円 |
中国電力 | 約48,000円 | 約94,800円 |
四国電力 | 約46,800円 | 約81,600円 |
九州電力 | 約46,800円 | 約90,000円 |
沖縄電力 | 約39,600円 | 約55,200円 |
こちらは、パナソニックのホームページで公開されているランニングコストの比較データの抜粋です。地域ごとの灯油単価やガス単価なども加味されているため、かなり正確な数値になっていると言えます。
この灯油ボイラーとガス給湯器のランニングコストを見ても、灯油ボイラーのほうがランニングコストは安いことが分かります。しかし、灯油ボイラーについては、灯油価格や原油価格によって、ランニングコストが変わってしまうのです。このデータは2017年10月現在ですが、今後は灯油価格が上昇すれば、灯油ボイラーのランニングコストが高くなることも考えられます。
また、経済産業省の発表では、ガス料金はここ数年停滞中。しかし、輸入されている液化天然ガス(LNG)の価格はドンドンと上昇しているのです。つまり、LNGの価格がガス料金に転嫁された場合、ガス料金が高くなるという懸念もあり、ガス給湯器のランニングコストはさらなる上昇を強いられる可能性もあります。
灯油ボイラーもガス給湯器もランニングコストは燃料費によって左右されることに違いはないのです。しかも、海外からの輸入や海外情勢によっては、どちらの料金とも一変するかも知れません。ですから、先々のことを考えるよりも、現状のランニングコストをそのまま受け入れておくのが良いと言えますよ。
3.2 導入費用(イニシャルコスト)で比較すると?
灯油ボイラーとガス給湯器の導入費用(イニシャルコスト)で比較してみましょう。灯油ボイラーとガス給湯器の工事費込みの価格を比較しています。
給湯器(メーカー) | 工事費込みの価格 |
---|---|
ガス給湯器(ノーリツ) | 約72,000円~ |
ガス給湯器(長府製作所) | 約100,800円~ |
灯油ボイラー(長府製作所) | 約116,000円~ |
灯油ボイラー(ノーリツ) | 約125,000円~ |
主要なメーカーがガス給湯器と灯油ボイラーを取り扱っていますが、工事屋さん.com において両方の工事費込みの価格が公開されている「ノーリツ」と「長府製作所」で比較しています。
導入費用が安いのは、やはり機材価格が安いとされているガス給湯器。しかし、長府製作所のガス給湯器と灯油ボイラーの価格は大きな違いがなく、ランニングコストを考えると、この差はすぐに埋められると言えるでしょう。
また、ノーリツの場合は、ガス給湯器のほうが数万円安くなっていますが、ガス給湯器と灯油ボイラーのランニングコストを比較した表を参考にすれば、数年以内に取り戻せる価格差になっています。そのため、導入費用だけを比較すれば、ガス給湯器のほうが安くてもランニングコストまで含めると、灯油ボイラーのほうが安くなると考えられるのです。
3.3 どちらが安いのか?
耐用年数では灯油ボイラーが長いとされています。しかし、実際にはメンテナンスや点検を十分に行うことでガス給湯器も長く使えるため、大きな違いは感じられないというのが実情です。
また、灯油ボイラーとガス給湯器の使い勝手を比較しても、燃料が違うということがありますが、使い勝手は大きく違いません。そのため、灯油ボイラーとガス給湯器の違いは、導入費用とランニングコストにあると考えて選べば良いのです。
最終的にどちらが安くなるのかで考えると、ランニングコストで導入費用の差額を取り戻せる灯油ボイラーが安いと言えます。しかも、灯油ボイラーの寿命を考えると、数万円分の導入費用の差額を取り戻したあとも長く使えて、最終的には随分と得になると考えられるのです。
ただし、灯油ボイラーには灯油切れがあるという点が要注意。灯油ボイラーの使い方によっては、燃料屋に一ヶ月から数ヶ月に一回の給油を依頼するということになるため、忘れてしまうおそれもあるのです。このような手間を考えると、いつでも安心して使えるガス給湯器が良いという人も少なくありません。
灯油ボイラーとガス給湯器を比較して選ぶときは、手間があることを知ったうえで安くなる灯油ボイラーを選ぶか、手間がないガス給湯器を選ぶのかを決めてくださいね。
4 まとめ
灯油ボイラーとガス給湯器の違いを比較してきました。灯油ボイラーは手間がかかる面もありますが、長い目で見ると安くて長寿命の製品と言えます。
一方で、ガス給湯器はランニングコストが高くなりますが、手間がかからずに高い給湯能力で使える給湯器と言えるのです。安くなるのは灯油ボイラーですが、手間も考えたうえで選ばないと後悔してしまうかも知れませんよ。