太陽熱温水器の真空管式って?設置の工事費用や評判を比較
2020年5月27日 更新太陽熱温水器は自然に優しくてエコな給湯システムとして人気が高まっています。しかし、太陽熱温水器には種類が多くて、人気は真空管式などと言われてもよく分からないですよね。
そこで、太陽熱温水器の真空管式について、工事費用や評判を紹介します。真空管式以外の太陽熱温水器と比較しながら解説するので、太陽熱温水器の真空管式に興味がある方は一読されてくださいね。
目次
1 太陽熱温水器の真空管式とは?
太陽熱温水器にはたくさんの種類があります。それぞれに特徴がありますが、太陽熱という再生可能エネルギーを利用することは共通しているのです。
1.1 太陽熱温水器の種類とは?
太陽熱温水器は、実は種類が豊富。そのため、家の状態や自分の好みに合わせて様々な太陽熱温水器が選べるのも人気の秘密と言えます。
太陽熱温水器は、太陽熱を集める「集熱器」と太陽熱で温めたお湯を貯めておく「貯湯タンク」で構成されています。この集熱器と貯湯タンクが一緒になっている「タンク一体型」と別々になっている「タンク分離型」があり、どちらを選ぶのかが最初のポイント。屋根の上に貯湯タンクを載せられるようであれば、タンク一体型の太陽熱温水器を選ぶと良いでしょう。また、屋根の負担を減らしたい場合には、タンク分離型の太陽熱温水器を選ぶこともできます。
さらに、給水方法でも種類が異なります。例えば、電気の力などに頼らず、自然の力だけで給水できる「落下給湯式(自然落下式)」は低コストで設置可能。ただし、太陽熱温水器を屋根の上に設置する必要がありますし、自然に落ちる力に頼っているため、水圧も弱めになってしまいます。
一方で、水道と同じ水圧で利用できる太陽熱温水器には「水道圧給湯式(水道直圧式)」があります。こちらは水道に直結して使用。そのため、落下給湯式よりも水圧は高くなるのです。キッチンなどに活用することもできて、利用範囲が広くなるという特徴もあります。
太陽熱温水器はお湯の作り方でも分類可能。太陽熱のみで自然にお湯を作る太陽熱温水器を「自然循環式(自然循環型)」と呼びます。これは太陽熱を集める集熱器と貯湯タンクが一体になっていて、集熱器部分で作られたお湯が自然と貯湯タンクの上へ集まるという仕組み。温かいお湯と冷たい水では、冷たい水が下にいくという自然の原理を活用しています。
もう一つは熱交換によってお湯を作る「強制循環式(強制循環型)」というタイプ。こちらは、まずポンプを使って不凍液などを強制的に循環させます。循環した不凍液などは蓄熱槽へ移動して、そこで水と熱交換を行うのです。熱を受け取った水がお湯になり、それを繰り返してお湯を作るという仕組み。ポンプを動かすための電力などが必要になることがあります。
そして、太陽熱を集める「集熱器」も2つに分類可能。一つが「平板式(平板型)」で、もう一つが「真空管式(真空管型)」です。
平板式の集熱器は、太陽熱温水器の中でも古くからあるタイプです。主に黒い平板型の集熱器で熱を集めて、その熱を水に吸収させることでお湯にするという仕組み。一方で、真空管式は真空になっているガラス管に水を通してお湯を作ったり、不凍液を通して不凍液と水の間で熱交換をしてお湯を作ったりしています。
まとめると、次のように太陽熱温水器を分類することができます。
太陽熱温水器のタイプ |
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太陽熱温水器の給水方法 |
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太陽熱温水器のお湯の作り方 |
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太陽熱温水器の集熱器 |
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太陽熱温水器を販売するメーカーによっては、これ以外の呼び方をしているケースもあります。太陽熱温水器は仕組みが単純ですが、進化は凄まじいので、分類しにくいタイプも登場しているからです。そのため、およその分類方法と思っておくと良いですよ。
1.2 太陽熱温水器の真空管式の特徴
太陽熱温水器は、紹介したように様々な種類があります。しかし、近年注目されているのは「真空管式」の太陽熱温水器。その理由は、作れるお湯の温度にあります。
古くからある太陽熱温水器の集熱器は平板式が一般的。夏場などに黒い服を着ると、熱を吸収して暑いですよね。それと基本的には同じ仕組みですから、単純でも効率的な方法と言えます。しかし、すべての太陽熱が水などに伝わる訳ではなく、熱が逃げやすい状態でロスも大きいと言えるのです。
一方で、真空管式は真空のガラス管に水や不凍液を通すため、熱は逃げにくくなっています。真空中は空気中よりも熱が伝わりにくいのは科学的にも証明されていることです。分かりにくい場合には魔法瓶を思い出すと良いでしょう。魔法瓶は真空部分があることで、中身の温度を維持してくれますよね。これと同じ仕組みを採用したのが、太陽熱温水器の真空管式なのです。
つまり、真空管式の太陽熱温水器は高効率で太陽熱を集めることができるため、平板式の太陽熱温水器よりも高い温度のお湯を作ることが可能。冬場でも高い温度のお湯ができることで、お湯を沸かし直して使うときのコストがより削減できるのです。再生可能エネルギーを使ってお湯を沸かすことができて、ランニングコストも抑えられることなどから、真空管式の太陽熱温水器が注目されています。
2 太陽熱温水器を工事費用で比較!
真空管式の太陽熱温水器は注目されていますが、様々な面で不安に感じることもありますよね。そこで、真空管式の太陽熱温水器を一般的な太陽熱温水器と比較してみます。
2.1 太陽熱温水器を工事費用で比較すると?
太陽熱温水器は安い買い物ではありません。それだけに多くの人が気になるのが工事費用ではないでしょうか?
太陽熱温水器は自然循環式で落下給湯式であれば、ランニングコストはかなり抑えられます。この場合に必要になるのは、冬場にお湯の温度が低いときに沸かし直すための熱源のコストくらいです。そのため、太陽熱温水器は「設置の工事費用」が重要なポイント。太陽熱温水器は種類に限らず、同じ太陽熱温水器であれば、できるだけ設置の工事費用が安い業者を選びましょう。
人気の太陽熱温水器の工事費用を一覧で紹介。
太陽熱温水器 | 集熱器/お湯の作り方 | 工事費用 |
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ノーリツ (SJ-321-BL) |
平板式/自然循環式 |
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長府製作所 (SW1-231) |
平板式/自然循環式 |
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寺田鉄工所 (SN-135/20F-A) |
真空管式/自然循環式 |
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ノーリツ (SJQ-420-BL) |
平板式/強制循環式 |
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寺田鉄工所 (ST-195/24F) |
真空管式/熱交換式 |
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一般的な太陽熱温水器では「ノーリツ」などが人気。特に平板式で自然循環式の太陽熱温水器は20万円以下で設置が可能です。ただし、屋根の状態や地域によって、工事費用は上下するので、注意しておいてください。
また、真空管式の太陽熱温水器は「寺田鉄工所」などが人気。特に寺田鉄工所の真空管式の太陽熱温水器(自然循環式)であれば、ノーリツの太陽熱温水器と設置費用も大きく変わりません。このくらいの工事費用の違いであれば、真空管式のほうが良いですよね。
強制循環式になると、少し高めの太陽熱温水器が多くなります。強制循環式はタンク分離型で屋根の上に集熱器があり、下に貯湯タンクなどがあるため、屋根の負担を軽減できます。しかも、集熱器を大きくすることもできて、太陽熱をより効率的に使えるということもあり、工事費用は高めになっているのです。
また、寺田鉄工所の真空管式の太陽熱温水器も、自然循環式のそれよりも集熱面積は広めです。真空管の数も多めになっていますし、こちらの給水方法は水道圧給湯式で水圧も十分。工事費用は高くなりますが、水圧にこだわって真空管式の太陽熱温水器を選ぶ場合はこちらにするという人も少なくありません。
つまり、水圧にこだわれば、普通の太陽熱温水器でも真空管式でも工事費用が高くなるのは同じ。太陽熱温水器の工事費用としては、真空管式のほうが少し高いだけということが分かります。
2.2 太陽熱温水器のお湯の温度で比較すると?
太陽熱温水器で作られるお湯の温度は天候に大きく左右されます。そのため、北と南ではお湯の温度差も拡大。同じ太陽熱温水器を使っていても、南の地域のほうがお湯の温度は高くなるのです。
一般的な太陽熱温水器と真空管式の太陽熱温水器を比較すると、真空管式の太陽熱温水器のほうが作られるお湯の温度は高いのです。夏場はどの太陽熱温水器でも50度を超える湯温になります。しかし、冬場は真空管式の太陽熱温水器のほうが優勢。
一般的な太陽熱温水器の湯温は、冬場は「25~35度」くらい。天候や地域によっても異なりますが、40度を超える場合もあります。対して、真空管式の太陽熱温水器の湯温は、冬場は「35~45度」くらい。状況次第では50度を超えることもあるようです。
また、実際に真空管式の太陽熱温水器の湯温を測定したという人の口コミを見ると、年間の平均的な湯温は、約34度。夏場にかなり高温になることを考慮すると、冬場でも十分な湯温が確保できることが分かりますよね。
もちろん、真空管式の太陽熱温水器でも、冬場は沸かし直してお風呂に入ることが多くなるでしょう。それでも冬場の水道水が10度前後ということを考えると、随分とコスト削減になりますよね。
3 太陽熱温水器の真空管式の評判は?
真空管式の太陽熱温水器は不安もありますよね。割れるかも知れないという不安もありますし、寿命がどのくらいかなども気になるでしょう。そこで、実際に真空管式の太陽熱温水器を使っている人の評判や口コミを紹介していきます。
3.1 太陽熱温水器の評判
ここで紹介する評判や口コミは、個人のブログやSNS、口コミサイトなどから収集しています。ただし、個人が特定されないように一部を抜粋しているので、その点はご了承ください。
内容・評価対象 | 評判 |
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コストや工事費用について |
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真空管について |
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湯温について |
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使った感想・評判・評価 |
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真空管式の太陽熱温水器の評判は概ね良好。しかし、太陽熱温水器の弱点でもある「天候」に悩まされている人は多いようです。また、関東よりも北の地域では冬の天候が悪い日も多いので、やはり沸かし直すための「補助熱源」が必要となるケースが多いと言えますね。確かに多少のコストは必要となりますが、水からお湯を沸かすよりもコストがかからないことは分かりますよね。
また、太陽熱温水器の真空管が割れそうで不安という人もいるようですが、評判にあるように日本製や10年保証のあるメーカーが存在。日本製や保証のあるメーカーの真空管式の太陽熱温水器にすれば、真空管が割れることもほぼないと言えそうです。さらに真空管には10年保証もあるので、万が一のときでも安心できますよ。
太陽熱温水器の場合、良質の真空管であれば、余程の災害でもない限りは割れることはないとされています。実際に日本製の真空管式の太陽熱温水器を使っている人のSNSやブログなどを見ても、真空管が割れたという話はありません。真空管が心配な場合には、このようなメーカーの太陽熱温水器を選ぶと良いでしょう。
3.2 真空管式の太陽熱温水器のおすすめメーカー
真空管式の太陽熱温水器のおすすめメーカーと言えば、やはり「寺田鉄工所」です。寺田鉄工所の真空管式の太陽熱温水器は「サナース」と「サントップ」の2種類。水圧にこだわるのであれば、水道圧給湯式のサントップがおすすめです。
寺田鉄工所の真空管式の太陽熱温水器は集熱効率も良いうえに、工事費用も低価格。すでに紹介したように、ノーリツの太陽熱温水器とほぼ変わらない金額で設置できることもある真空管式の太陽熱温水器です。できるだけ安い価格で真空管式の太陽熱温水器の実力を感じたい人にはおすすめと言えますよ。
また、真空管式の太陽熱温水器にすると、真空管の破損が気になるという人には「太陽光」の真空管式の太陽熱温水器がおすすめ。こちらはスペインの会社と業務提携して真空管を開発しており、耐久性が高いことでも知られています。しかも、メーカーも真空管の強度には自信があるようで、真空管には10年保証がついているのです。災害によって破損した場合でも真空管を取り換えてもらえるので、真空管の破損が気になる人におすすめですよ。
4 まとめ
真空管式の太陽熱温水器について、工事費用や評判などを紹介してきました。真空管式ではない太陽熱温水器との比較を見ても分かるように、真空管式の太陽熱温水器は湯温も高くなりやすくて良いのです。確かに工事費用は真空管式の太陽熱温水器のほうが高いと言えます。しかし、評判も良いので、太陽熱温水器を設置するのであれば、真空管式の太陽熱温水器が良いですよ。