4K・8K放送とは何?視聴に必要なアンテナやチューナーの価格や工事の必要性について
2021年5月25日 更新これまでのアナログ放送に代わり、地上デジタル放送が開始となったのは2006年12月です。これまでのアナログ放送の画質からは大幅に向上し、またデータ放送等も開始となったことから、よりテレビが楽しいコンテンツになりました。それから12年の歳月がたち、より高画質な放送を楽しめる新4K・8K衛星放送が、2018年12月より放送開始となっています。では、家庭のテレビで4K・8K放送を楽しむにはどうすればよいのでしょうか?今回は、4K・8K放送について詳しく解説していきます。
目次
1 4K・8Kとは何?
まず基本的な部分から解説します。そもそも4K・8Kとはどんな意味で、これまでのデジタル放送と何が違うのでしょうか?
1.1 4Kとは
4K放送のKとは、テレビ画面に映像を表示するための画素数を1000単位で表した記号の事です。つまりKとは、グラムで言えばキロで1000グラムを1キロと表記するのと同じです。4Kとは、従来の地上デジタル放送の画素数(水平1920画素×垂直1080画素=約207万画素)に比べて、水平の画素数2倍(水平3840画素)×垂直の画素数2倍(垂直2160画素)となっており、画素数自体は地上デジタルと比べると4倍の約829万画素です。したがってよりリアルな映像が楽しめるようになっています。水平の画素数(3840画素)が約4000であるので4Kと表現しています。因みに、地上デジタルは水平の画素数(1920画素)は約2000であるので2Kと表現されます。
1.2 8Kとは
8Kでは、水平7680画素×垂直4320画素=3318万画素となります。つまり、4K放送の約4倍の画素数、2K放送に比べると16倍の画素数となります。水平の画素数(7680画素)は約8000であるので8Kと表現されます。なお、この8K放送の画質が人間の肉眼に近いものと言われています。
2 4K・8Kのメリット・デメリット
ここでは、4K・8K放送のメリットやデメリットについて解説します。
2.1 4K・8K放送のメリット
- 映像の鮮明さと美しさ
- その場にいるかのような臨場感がある
4K・8K放送の一番のメリットは、その映像の美しさです。特にスポーツ中継・コンサート中継などで、その場にいるかのような臨場感を味わいたい人にはおすすめです。繊細な映像がもたらす、プレイヤーの迫力やスタジアムや会場の熱気はテレビを介して伝わってきます。東京オリンピックなど大型のスポーツイベント控えることを機に、購入を検討する人も多いでしょう。
2.2 4K・8K放送のデメリット
- 専用チューナーとアンテナがないと視聴できない
- 機器代と設置費用などの工事費が掛かる
- 視聴できる番組が少ない
4K・8K放送のデメリットは、まず専用チューナーとアンテナがないと視聴できないことです。マンションの場合、共用で専用アンテナがあればチューナーを用意することで視聴できます。しかし、一戸建ての場合はアンテナとチューナーどちらも用意する必要があります。当然、チューナーとアンテナの購入費と設置のための工事費が別途掛かります。なお、ケーブルテレビに加入している場合、4K・8K放送が配信されていればチューナーのみで視聴することができます。また、視聴できる番組はあまり多くありません。4K放送は、NHK以外の民放も番組を提供していますが、4Kで視聴できる番組はあまり多くありません。更に、8K放送に関してはNHKのみの放送となっています。
3 4K・8K放送を視聴するには
では、実際に4K・8K放送を視聴するにはどうすればよいのでしょうか?
3.1 4K・8K対応テレビの場合
4K対応テレビはBS・CS対応の4Kチューナーが内蔵されておらず、このままでは4KのBS・CS放送は視聴できません。そのため、4KのBS・CS放送を受信するには上記のアンテナに加えて、別途BS・CS対応の4Kチューナーが必要となります。8Kの場合も同様です。
3.1.1 チューナー価格はどのくらい?
4Kチューナーを製造しているメーカーは、シャープ、ピクセラ、パナソニック、ソニー、マスプロなどです。メーカーにもよりますが、10,000円~20,000円が主な価格帯となっています。
3.1.2 チューナーおすすめ商品
チューナーのおすすめ商品をご紹介します。
メーカー | 品番 | 価格帯 | 機器の特徴 |
---|---|---|---|
シャープ | 4S-C00AS1 | 7,200円~30,742円 |
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ピクセラ | PIX-SMB400 | 7,400円~29,376円 |
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パナソニック | TU-BUHD100 | 11,250円~35,000円 |
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ソニー | DST-SHV1 | 23,576円~65,000円 |
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マスプロ | DT814 | 9,800円~27,924円 |
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3.2 4K・8Kチューナー内蔵テレビの場合
4K・8Kチューナー内蔵テレビの場合は、視聴できるチューナーが既に内蔵されています。したがって、あとは4K・8K放送を受信できるアンテナがあれば視聴できます。一戸建ての場合は、専用のアンテナの設置が必要です。マンションなどの場合は、共用のアンテナに4K・8K対応のアンテナが設置してあれば視聴可能です。分譲マンションの場合、管理組合の負担で設置することになるので、設置できるかは管理組合の決議によって変わります。
3.2.1 4K・8K対応テレビとチューナー内蔵テレビの違い
4K・8K対応テレビとチューナー内蔵テレビの違いは、4K・8Kチューナーがテレビに内蔵されているかです。4K・8K対応テレビで4K放送等を視聴する場合は、外付けのチューナーを設置する必要があります。チューナーとは、受信した4K・8K放送の電波をテレビ画面に映すために信号変換する設備のことです。
3.3 マンションなど集合住宅の場合
マンションなどの場合は、共用アンテナに4K・8Kが視聴できるアンテナが設置されていれば視聴できます。4K・8Kのアンテナが設置されていない場合でも、従来のBS/110度CS対応アンテナで右旋のみの4K放送自体は視聴できますが、4K画質での視聴はできません。また、4K・8K対応アンテナであれば右旋のみでなく、BS左旋とCS左旋のチャンネルも視聴できます。なお、右旋で視聴できるチャンネルは、NHKBS4K、BS日テレ4K、BS朝日4K、BSフジ4K、BSテレ東4K、BS-TBS4Kとなります。BS左旋ではショップチャンネル4K、WOWOW、ザシネマ4K、QVC、NHKBS8Kが視聴できます。CS左旋では、スポーツ専門チャンネルや映画専門チャンネルなど、専門性の高いチャンネルが視聴できます。
3.4 一戸建てなどの場合
一戸建てなどの場合は、4K・8K対応のアンテナを購入し、設置する必要があります。その設置費用については次の章にてご紹介します。
4 4K・8K放送を視聴するためのアンテナの価格や工事費は
ここでは、4K・8K放送を視聴するために設置するアンテナの価格や工事費用について紹介します。
4.1 アンテナの価格はどのくらい?
4K・8K視聴用のアンテナの主なメーカーは、DXアンテナ、マスプロ、パナソニック、日本アンテナ、サン電子です。価格帯は、主に7,000円~15,000円となっています。下記に各メーカーのおすすめ商品をご紹介します。
4.1.1 アンテナおすすめ商品
各メーカーのおすすめアンテナをご紹介します。
メーカー | 品番 | 価格帯 | 機器の特徴など |
---|---|---|---|
DXアンテナ | BC45AS | 5,217円~7,991円 |
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マスプロ | BC45RL | 5,670円~14,333円 |
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サン電子 | CBD-K045 | 7,860円~16,401円 |
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日本アンテナ | 45SRL | 7,981円~11,796円 |
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パナソニック | TA-BCS45U1 | 10,864円~16,504円 |
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DXアンテナ | BC-503S | 6,900円~21,800円 |
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4.2 工事費の目安はどのくらい?
4K・8K対応のアンテナ設置費用ですが、アンテナの設置のみならずアンテナ線の住居内への配線、4K・8K放送に対応した分配器の設置、電波が弱い場合に設置するブースター、3階建て物件の場合の高所作業費用など、設置場所等により金額はさまざまです。したがって、設置工事を希望する場合は、設置業者へ見積もりを取ることをおすすめします。概ねの価格帯は、全部屋への設置工事で40,000円~60,000程度と考えてよいでしょう。
なお、アンテナをベランダに設置する場合は自身でアンテナ設置を行うことは可能です。4K・8K放送を見るのが1台だけであり、配線や機器交換だけなど作業が簡単であることが主な条件です。しかし、アンテナ自体は重量があり、高所での作業の場合もあります。また、アンテナの角度調整も素人では難しいところもあるので、一般的には設置業者に依頼するのをおすすめします。
5 4K・8K放送の現状は?
4K・8K放送の現状はどうなのでしょうか?こういった新しい放送スタイルが出てくると思い出されるのが、2010年頃に大きな流行りとなった3Dテレビです。3Dテレビは、特殊なメガネをかけると画面から浮き上がってくるような画像が話題となり、一時期家電量販店でも大々的に販売されていました。しかし、実際3Dが楽しめるのは一部コンテンツに留まり、スポーツ中継でも試験放送はありましたが、本放送では採用されませんでした。つまり、日常的に視聴する地上波放送に導入されなかったことから、徐々に3Dテレビは衰退していき、とうとう2017年には全ての生産が終了してしまいました。3D自体は画期的な視聴方法でしたが、機器の買換え、特殊なメガネの使用など余計な費用が掛かったりもするので定着しなかったということです。
では、4K・8K放送はどうでしょうか?4K放送は2018年12月より放送が開始となりました。4K・8K放送普及のポイントは下記であると考えます。
- 4K対応テレビ、4K・8Kチューナー内蔵テレビが、現在家電量販店では主力商品となっている。オリンピックなどの開催やテレビの買換え時期に入った人が多く普及は進んでいるが、このまま継続できるか?
- 4K・8K放送に対応した番組コンテンツが充実するか?現状、BS放送のみで地上波では導入されていない
4K放送を家電量販店で見ると、画像の鮮明さに感動した人は多いでしょう。スポーツ中継を見ていると、選手の表情はもちろん、遠くにいる審判や観客の顔まではっきりと見ることができます。従来のハイビジョン(2K)もアナログ放送に比べれば画質の良いものですが、4K放送は更に高精細な画質で視聴することができるようになりました。しかし、この高精細な画質の4K放送は、地上波では放送されておらず現状はBS4K放送のみとなっています。NHKは専門チャンネルがあるものの、民法のBS4K放送は既存のBS放送の一部が4K放送になっているのみで、番組数は圧倒的に少ないのです。どの分野でも同じことが言えるのですが、ハードが凄く高性能でよいものでも、そのハードを使えるソフトが充実しないと、その機種が普及することはありません。例えば、家庭用のゲーム機も高性能なハード機種があっても、そのハードを使ってプレイできるソフトが面白くなければ、そのゲーム機の販売は伸びません。つまり、幾ら画質の良いハードが供給されたとしても、それが日常的に使われることがなければ普及はしません。よって今後は、視聴できる番組コンテンツを充実させ、誰でも楽しめるものにしないといけません。
6 まとめ
4K・8K放送を視聴するためには、既存のテレビを4K・8Kチューナー付きのテレビに買換え、更に右旋左旋放送どちらも視聴するには、新たなアンテナ設置も必要になります。テレビ自体は、現在50インチサイズで15万円前後で購入可能です。また、アンテナ購入と設置工事には、5~6万円前後の費用が別途必要になります。最近新築された分譲マンションであれば4K・8K対応アンテナが設置されているのですが、殆どのマンションで設置自体は進んでいません。分譲マンションであればアンテナ設置を管理組合で協議する必要がありますし、賃貸住宅の場合はオーナーの意向次第になります。一戸建てでのアンテナ設置工事は、慣れた専門業者に依頼するのがよいでしょう。