井戸ポンプが止まらないのは故障?原因と修理方法を解説
2020年8月13日 更新ガーデニングや家庭菜園、生活用水として井戸水を活用している場合、突然水が出ないなどの井戸ポンプの故障があると生活に支障が出てしまい困ってしまいますね。では、蛇口から水は出るけれども、井戸ポンプのモーターが回りっぱなしだったり、止まったり動いたりしている状態というのはポンプの故障なのでしょうか。また、このような症状が出た場合には修理で治るのか、井戸ポンプの交換が必要なのかという点が気になりますね。今回は、井戸ポンプが止まらない症状がでる原因や修理方法について探っていきましょう。
目次
1 井戸ポンプが止まらない症状は故障なのか?
通常井戸ポンプは、蛇口をひねって水を流すことでポンプが動いて給水されるのですが、水を止めてもポンプが動き続けていることがあります。こうした井戸ポンプが止まらない症状が出た場合には、ポンプの故障が考えられます。止まらないといっても、モーターが回りっぱなしの状態もありますし、動いたり止まったりといった動作を繰り返す状態の場合もあります。
こうした場合には、電気の使用量が増えることになります。しかしこの時、電源を切るのは避けましょう。電源を切った場合には井戸の水がポンプの中から落ちてしまうことになり、次に使用するときに空回りをすることになりますので注意が必要です。電気の消費も気になるところですので、このような症状が出た場合には、早めに専門の修理業者へ依頼をするのが良いでしょう。
1.1 井戸ポンプの使用期間はどのくらいか
井戸ポンプは経年劣化や使用状態によって消耗していく設備ですので、ある程度の年数を使用した場合には、交換も必要となります。多くの場合、井戸ポンプ使用目安としては10数年程度となっています。
2 井戸ポンプが止まらない原因と修理の必要性
では、井戸ポンプが止まらない状態になる原因にはどのようなことがあるのでしょうか。考えられる主な原因としては、以下の4つがあります。
- 蛇口やトイレタンクの中の漏水
- 圧力タンク(アキュームレータ)の経年劣化
- 井戸の水不足やポンプの摩耗による水圧不足
- ポンプ能力の低下
ひとつずつ具体的に見ていきましょう。
2.1 蛇口やトイレタンクの中の漏水
井戸ポンプは蛇口をひねることによって圧力センサーが反応し、水が出る仕組みとなっています。つまり、水が出ている状態の場合には井戸ポンプは動き続けることになります。そのため、まずはどこからか水が出ていないか、漏れていないかという事を確認する必要があります。
気付きにくい箇所としてはトイレタンクの中です。トイレタンクの中ではトイレの水を止めるためのボールが設置してあり、水を流してタンクの中の水がなくなると蓋をする仕組みとなっていますが、そのボールが何らかの原因で外れてしまったり、ずれてしまったりすることがあります。そうなるとトイレの水は少量でも流れっぱなしになるため、水が常に出ている状態となってしまいます。
まずはこのような状態になっていないか、確認をしてみましょう。原因がこのような水漏れだった場合には、自分で治すことも可能です。
2.2 配管から漏水による水圧低下
先にも説明したように、井戸ポンプの仕組みは圧力センサーの反応によって水が出るようになっています。つまり、水がでている状態の場合は圧力センサーが反応することになるわけです。蛇口などからの水漏れではない場合には、配管からの漏水という可能性があります。
配管から漏水をしている場合には、配管内の水圧が徐々に下がっていきますので、圧力センサーが反応してポンプが動いたり止まったりという動作を繰り返すことになります。配管からの漏水が原因かどうかについては、ポンプの出口にバルブが付いていれば簡単に調べられます。
バルブを閉じた状態にすれば配管へ水が流れませんね。バルブを閉じてポンプの運転が止まれば、配管からの漏水だと考えられるでしょう。配管からの漏水の場合には、配管のどの部分からの漏水かを調べる必要がありますし、配管の交換が必要となるため、専門業者に依頼をすることが必要です。
2.3 圧力タンク(アキュームレータ)の経年劣化
圧力タンク式のポンプの場合、圧力タンク内ではゴム製の隔膜で水と空気を分けていて、タンク内では空気が圧縮されています。その圧縮された空気は適正な量必要なのですが、空気圧が不足することでポンプのスイッチが入ったり切れたりすることになります。このゴム製の隔膜は経年劣化しやすく、水室に空気が漏れ出してしまうことがあるのです。
こうした経年劣化を防ぐためには、1年に1回の点検が必要とされています。しかし、井戸ポンプに異常がなければ点検をしない場合も多いですね。そうすると、ゴム製の隔膜の劣化によってポンプが止まらない状態になることもあるため、専門業者に点検を依頼する必要があるでしょう。
2.4 井戸の水不足やポンプの摩耗による水圧不足
雨不足などで地下水の量が低下している場合、にも、井戸ポンプが止まらない症状が出ることがあります。例えば、蛇口をひねって出てくる水が汚れていたり、空気が混ざったりしている場合、地下水の水位が不足している可能性があります。
また、井戸ポンプは設定されている圧力に達することで止まるようになっています。地下水の水位に異常がない場合には、圧力が不足している可能性があります。これは、呼び水口へ圧力計を取り付けて圧力が正常数値まで上がるかを確認してみましょう。圧力が上がらない状態の場合、インペラ(羽根車)のや逆止弁の摩耗による劣化と考えられます。それ以外では、給水配管に空気が混入している、圧力タンクの異常の場合もあります。
また、圧力を計った時に設定圧力まで上がる状態なのに井戸ポンプが止まらない場合には、圧力スイッチの故障も考えられますし、井戸内のパイプの先端に取り付けられたジェットという部分の故障によっても発生することもあります。
インペラや逆止弁の摩耗による劣化、圧力スイッチやジェットの故障であれば、機種によっては部品交換だけで修理が完了する場合もあります。ただし、圧力タンクに亀裂は入るなどの劣化の場合には素人での交換は難しいため、専門業者に相談をしましょう。
2.5 ポンプの能力の低下
井戸ポンプは、十数年といった長期間使用していることで、地下水をくみ上げる能力が弱ってしまうことがあります。そのため、蛇口を閉じても吐出側の水圧が正常な規定圧力まで上がらず、圧力スイッチによって電流を遮断することができなくなるのです。
簡単にいえば、井戸ポンプの経年劣化による消耗で水圧が上がらないことによる故障です。井戸ポンプ自体の能力低下によるものなので、井戸ポンプの交換が必要となる可能性があります。一時的な対策としては、圧力スイッチの設定圧力を今までの低い圧力に設定することで電源を切ることができるため、井戸ポンプが止まらない症状を解消することも可能です。ただし一時的な対処法の為、修理や交換については専門業者に相談をするようにしましょう。
3 井戸ポンプの修理にはいくらかかる?
井戸ポンプの部品修理や交換、井戸ポンプの交換などが必要になった場合には、やはり費用が気になりますね。では一般的にどれくらいの費用が掛かるのでしょうか。
3.1 作業費用
井戸ポンプの修理にかかる費用として、部品や製品の価格以外に専門業者に支払う作業費用が必要となります。もちろん、業者によって作業費は異なりますが、その一般的な目安としては、以下の通りです。
- 基本作業費用:約15,000円~約40,000円
部品の交換程度であれば15,000円程度の費用で設定している業者もありますし、井戸ポンプの交換にかかる作業費用としては、40,000円程度の費用で設定している業者もあります。これに井戸ポンプの価格と古い井戸ポンプの処分費用がかかることになります。また、単純に状態を調査するだけの費用や出張費用などもかかることがありますし、作業工程が多ければその分作業費用も掛かる可能性がありますので注意しましょう。
3.2 配管やジェットなどの交換
井戸ポンプの配管からの漏水の場合には配管の交換が必要ですし、井戸内のパイプの先端に取り付けられたジェットの故障であればジェットの交換が必要となります。作業費用は、配管の長さによっても異なりますし、ジェットの位置によっても異なりますので、しっかりと確認する必要がありますが、配管やジェットの部品の費用の一例については、以下の通りです。
- 井戸ポンプ交換用の配管セット(配管後継VP25用セット):約1,180円
- 深井戸ポンプ用ジェット:約11,000円~
※セット内容・・・硬質塩化ビニル管用接着剤100g×1缶、5m巻スリーボンドシールテープ1個、25A×R1インチ(25mm)インチ・VPバルブソケットメタルなし【バルソケ】×2個、25A・VPソケット×2個、VPパイプ25A:200mm(20cm)×2本
3.3 圧力スイッチやインペラなどの交換
水圧に関係する圧力スイッチやインペラ(羽根車)の交換などについては、DIYでも可能な修理ですが、その部品の費用の一例については以下の通りです。
- 圧力スイッチ:約5,000円~
- インペラ(羽根車):約6,800円~
3.4 井戸ポンプの交換
井戸ポンプが経年劣化によってその性能が劣ってしまった場合には、井戸ポンプ自体を交換する必要が出てきます。今取り付けられている同じ井戸ポンプは、製造停止などになっている可能性があるため、新しい製品への取り換えとなることが多くなります。井戸ポンプは高額になるため、今取り付けられている同程度の井戸ポンプを依頼するのが良いでしょう。
- 家庭用井戸ポンプ 約50,000円~
井戸ポンプの工事については交換の場合、工事費と合わせて10万円程度からの金額が必要となります。十数年経過している場合には、井戸ポンプの交換を視野に入れて専門業者にまず見積もりを摂ることから始めましょう。
4 井戸ポンプの修理はDIYでも可能?
井戸ポンプの修理は、圧力スイッチやインペラの交換、またポンプ内の砂利やゴミなどの清掃は、井戸ポンプの知識があればDIYでの修理も可能となるでしょう。しかし、専門知識が必要な機器です。電力を使っているものですので、危険を伴う可能性もあります。
また、井戸は8~20mといった深さに配管が入っていますので、配管の取り換えやジェット交換などについては、重い配管やジェットなどを井戸の中に落としてしまうことも考えられます。こうなると、井戸の堀直しをしなければならなくなる可能性があります。井戸の堀直しをするとなると、井戸ポンプの交換費用も含めて100万円程度の金額が必要となることもあります。
安易に自分で修理を試みるのではなく、まずは専門業者に相談をするのがおすすめです。
5 井戸ポンプの工事費を安く抑えるために出来ること
井戸ポンプの不具合が出た時には、早めに専門業者に点検に来てもらいましょう。不具合があるにも関わらず、井戸を使い続けてしまうと、井戸ポンプ自体を交換する必要が出てくる可能性があります。
部品交換だけならそれほどかからなかった費用でも、井戸ポンプを交換となるとまとまった費用が掛かります。また、少なくとも数年に1度は定期的に点検をするのが良いでしょう。また、気になることがあった場合には、早めに対応するように心がけましょう。
6 まとめ
井戸ポンプが止まらない症状には、さまざまな原因があります。その原因によって部品の交換で済むのか、井戸ポンプを交換しなければならないのか、また配管の交換やジェットの交換が必要なのかといったことが必要となります。その修理や交換によって、かかる費用が大きく異なりますので、まずは自分で原因を探ってみて、わからないようであれば早めに専門業者へ見てもらいましょう。
また、定期的な点検などを心がけておくと、いざという時に役に立つ可能性が高くなります。多くの費用が掛からないよう、普段からメンテナンスを心がけるようにすると良いですね。