電気自動車の充電設備(EV充電器)を家庭に設置する工事費用と設置場所
2019年5月31日 更新電気自動車(EV)は補助金や減税などがあり、人気が高まっています。ガソリン車と比較するとEVはコストパフォーマンスも良いため、購入する人が増えているのです。
そこで、多くの人が気になるEV充電器について詳しく解説します。設置場所や工事費用などはEVの購入前に知っておくほうが良いですよ。ここでは電気自動車の充電器であるEV充電器について詳しく解説しています。
目次
1 家庭用EV充電器を設置する工事費用
電気自動車(EV)を購入すると、多くの人が家庭用EV充電器を設置するはずです。しかし、EV充電器を設置する工事費用の相場を知らないと、かなり損をしてしまうかも知れませんよ。
1.1 家庭用EV充電器を設置するメリット
電気自動車は「Electric Vehicle」という英語の頭文字を取って「EV」と呼ばれるのが一般的。このEVは電気で走るため、充電設備が必要となります。EVの充電設備は公共の場所にもありますが、自宅で充電することも可能です。
ガソリン車の場合はガソリンスタンドを利用するため、自宅にガソリンを入れるための施設を設置するということは考えられません。すると、EVの場合も公共の充電設備を利用すれば良いのではないかと考えがち。しかし、自宅に家庭用EV充電器を設置するメリットもあるので、可能な限りはEV充電器を設置するほうが良いですよ。
家庭用EV充電器を自宅に設置するメリットには、次のようなものがあります。
- いつでも充電できる
- 充電設備を探さなくて良い
- バッテリーの負担が軽減できる
- 防災対策となる
- 深夜電力が使える場合はコスパが良い
近年はEVの充電設備も増えつつあります。しかし、ガソリンスタンドと比較すると、圧倒的に少ないのは事実。すると、EVの人気が高まっていることもあって、充電設備で待つという状況になってしまうこともあるのです。
例えば、ショッピングモールや近くの店舗などに出かけたときに充電しようと思っても、そこに先客がいれば、すぐにEVの充電を始めることはできません。また、EVは1回30分の充電が普通だとしても、その時間は充電設備のある場所やその近くにいなければなりませんよね。状況によっては時間が長く感じることがないとは言い切れないでしょう。
そして、公共の充電設備に頼っていると、充電設備を探す状況になることもありますし、急速充電ばかりではバッテリーの負担も大きくなると考えられます。いずれにしても、自宅でゆっくりと充電できる機会があるほうが良いのは明らか。電気代もそこまで高い訳ではないので、自宅に家庭用EV充電器を設置するほうが有意義なのです。
さらに、自宅に家庭用EV充電器があれば、防災対策としても活用可能。万が一の災害時にEVが電気を運ぶために最適ということはよく知られています。自宅でEVを充電できていれば、災害時にも自宅で十分に電気を使用できるでしょう。もちろん、どこかで充電してきても構いませんが、自宅で充電する場合とは比較にならないと言えます。
1.2 家庭用EV充電器を設置する工事費用の相場
家庭用EV充電器を設置する工事費用は、どこに頼むのかで異なります。一般的にはEVを購入するときに「ディーラー」で家庭用EV充電器の工事を頼むという人が多いのではないでしょうか。
ディーラーで家庭用EV充電器を依頼した場合、いくつかのパターンがあります。例えば、購入したディーラーオプションによって、家庭用EV充電器は無料ということがあるのです。このときの工事費用は「約10万円程度」が相場。それをオプションとして無料にするということがあります。また、無料にならずに、そのまま10万円程度で見積もりを出されるというケースも少なくないのです。
一方で、地元にある電気工事会社などに依頼した場合は「2、3万円程度」が最安値。この価格に加えて、配線の露出の有無、ケーブルの有無など、EV充電器の仕様などによって価格が変わってくるのです。EV充電器のメーカーなどによっても変わりますが、最大では「10万円以上」になることもあります。そうなると、ディーラーでEV充電器を頼んだ場合とあまり変わらないと言えますよ。
また、時期によっては自動車メーカーやディーラーのキャンペーンなどが利用できることもあります。自宅に家庭用EV充電器を設置する工事を行う場合、その費用の一部をメーカーやディーラーが負担。実際の工事費用が半分程度になるケースなどもあるので、EVを購入するときにはよく確認を行いましょう。
2 充電設備の最適な設置場所とは?
EV充電器を設置するとき、意外と設置場所はどこが最適かで迷います。少なくとも、いたずら防止と長時間使える利便性を兼ね備えた場所にEV充電器を設置することが重要です。
2.1 戸建て住宅のEV充電器の最適な設置場所とは?
戸建て住宅にEV充電器を設置する場合、設置場所は駐車場が一般的。シャッターがある駐車場などは安全面と利便性を兼ね備えているため、新築する際にEV充電器を設置することが最適とされています。
一方で、戸建て住宅に後付けでEV充電器を設置する場合は、主に住宅に隣接する駐車場に「100Vコンセント」や「200Vコンセント」を設置して普通充電することが推奨されています。ただし、盗電などのリスクもあるため、EV充電器を設置する場所によっては「鍵付きボックスタイプ」や「屋内スイッチの設置」などを同時に検討。安全面をしっかりと考慮して、EV充電器の設置場所を決定しましょう。
また、住宅と駐車場が隣接するなど、距離が近い場合には「壁掛けタイプ」がおすすめ。鍵付きのボックスタイプや充電ケーブルが収納できるタイプ、コンセントタイプなどを選ぶのが良いですよ。そして、住宅と駐車場の間に距離がある場合には「スタンドタイプ」を選ぶこともできます。戸建て住宅ではまれなケースと思いますが、EV充電器の選択肢は意外とたくさんあるということです。
さらに、EV充電器の設置場所は「ある程度の高さが確保できる場所」にする必要もあります。雨水がかからない場所というのは言うまでもなく、浸水防止も考慮しておくことが重要なポイント。経済産業省や国土交通省は「操作性」「浸水防止」などを考慮して、地上から1m前後にEV充電器を設置するのが普通としているのです。冬場に積雪が予想される地域では、さらに高い場所をEV充電器の設置場所として推奨していることにも注意しておきましょう。
2.2 マンションや賃貸物件の場合は?
近年の分譲マンションなどでは、最初からEV充電器が設置されている物件も少なくありません。もしもEV充電器がない場合には、マンションの管理組合の総会で決議することになるでしょう。
いずれにしても、EV充電設備が「共用部分の範囲」や「物件の付属施設」になるか、マンションの「設備の一部」となるかなどは、管理組合の判断によるところが大きいのが現状。マンションでEV充電器や充電設備を設置する場合には、管理規約を確認したり管理組合に話を通したりすることから始めましょう。
賃貸物件の場合は、貸主の許諾が必要。要するに、大家や管理会社にEV充電器の設置の許可を受ける必要がある訳です。しかも、賃貸借契約が終了したときには、原状回復するか、そのまま引き渡しとするかなど、予め話し合いをしておくこともポイント。あとでもめることがないように、EV充電器の設置前に詳細を決めておくようにしてください。
3 EV充電器を設置したときの電気代はどうなるの?
毎月の走行距離によっても電気代は異なりますが、深夜電力が利用できるプランに加入している場合は「1kmあたり2~3円」です。深夜電力の単価も地域で異なりますし、電力の契約プランによってはもう少し高くなることもあるでしょう。そのため、あくまで目安の電気代となります。
また、実際にEVに乗っている人の口コミを参考にすると、一回の充電で「300円程度」という人が多め。そして、ひと月の電気代は「1,500~3,000円」の範囲です。走行距離によっても異なるため、走行距離が長い人は高いほうを参考にしてください。
そのほか、EV充電器を設置していない人は、自動車メーカーのサポートプログラムに加入している人も多くいます。例えば、日産リーフの「ZESP2(日産ゼロ・エミッションサポートプログラム2)」では、月額2,000円(税別)で公共の急速充電器が使い放題。自宅のEV充電器を使った場合の電気代と比較しても、大きな違いはありません。そのため、走行距離が短い人は自宅にEV充電器を設置するほうが良いですが、走行距離が長い場合にはこのようなプログラムを活用することも検討しましょう。ただし、急速充電器は使い放題でも、先客がいる場合には待つことになるのは同じですよ。
4 まとめ
EVの充電設備であるEV充電器の工事費用と設置場所などについて解説してきました。EV充電器の工事費用は、街の電気工事会社に依頼するのがお得です。ディーラーの見積もりが高いと思った場合には電気工事会社を探してみましょう。思ったよりも安くEV充電器を設置できますよ。